三重県 基準地価、下げ幅4年ぶり拡大 新型ウイルス影響、商業地顕著

【商業地の上昇率が県内で最も高い桑名市寿町2丁目】

三重県は29日、今年の地価調査結果を公表した。基準地価の対前年平均変動率は住宅地が28年連続、商業地が29年連続で下落。ともに新型コロナウイルス感染症の影響で下げ幅が4年ぶりに拡大し、飲食店が多い商業地の下落が目立った。調査に当たった不動産鑑定士は「感染拡大の影響は続いているため、今後も下落の動きは強い」とみている。

■住宅地
平均変動率はマイナス1・6%で、下げ幅は前年より0・1ポイント拡大。全国順位は3つ上げて41位となった。調査対象のうち、前年より6地点多い178地点で下落。上昇は6地点減の14地点だった。

1平方メートル当たりの平均価格は、前年より300円安い2万8500円。最高価格は15年連続で津市大谷町(9万9千円)だった。津駅に近い高台で8年連続で上昇しているが、上げ幅は1・0ポイント縮小した。

上昇率が最も高かったのは桑名市松並町二丁目で、平成19年以来13年ぶりにトップとなった。上昇率は1・1%で前年より0・9ポイント低下したが、桑名駅に近い高台の住宅地で、根強い需要がある。

■商業地
平均変動率はマイナス1・3%で、下げ幅は前年より0・4ポイント拡大。全国順位は2つ上げて31位だった。84地点のうち64地点で下落。上昇地点は前年より10地点少ない11地点にとどまった。

一平方メートル当たりの平均価格は前年より400円安い6万3千円。最高価格は10年連続で四日市市安島一丁目で、4千円高い28万9千円だった。近鉄四日市駅に近く、高い集客力を背景に需要を維持した。

上昇率が最も高かったのは、桑名市寿町二丁目で1・7%の上昇。上げ幅は0・5ポイントの縮小となったが、桑名駅周辺で進む整備事業が下支えし、調査地点に登録された平成3年以降で初のトップとなった。

前年は上昇率が11位となっていた伊勢市宇治浦田一丁目は4位となり、11年連続で上昇。上昇率は0・9%と前年より0・4ポイント縮小したが、伊勢神宮への近さからコロナ禍でも上昇を維持した。

一方、感染拡大の影響で飲食店が多いエリアを中心に相次いで地価が下落。前年は3地点あった津市の上昇地点はゼロに。前年は横ばいが三地点あった鈴鹿市も、今年は全ての調査地点で下落した。

■工業地
平均変動率はマイナス0・5%で、下げ幅は前年より0・1ポイント拡大。下げ幅は平成23年から縮小を続けていたが、感染拡大に伴う生産の縮小などが影響し、9年ぶりに拡大に転じた。

調査に当たった県地価調査分科会の片岡浩司代表幹事は「ここ数年は下げ止まりの傾向にあったが、感染拡大がストップを掛けた。今後も感染拡大の影響は続き、少なくとも半年間は下落圧力が強い」と話す。

商業地は「観光客の減少や移動の自粛で観光地や飲食店を中心に低下した」とし、工業地は「新名神の全線開通でプラスに転じると予測したが、感染拡大による生産縮小でプラスマイナスゼロの状況」と語った。

一方、伊勢市の観光地で上昇率が維持された理由は「インバウンドの割合が少なく、名古屋や大阪からの日帰り客が多い。宿泊を伴う旅行の自粛による影響が相対的に少なく、客足の戻りも早い」と分析した。