三重県議会 一般質問 水産高の実習船、新調へ 「しろちどり」老朽化

三重県議会9月定例月会議は28日、中瀬信之(新政みえ、1期、度会郡選出)、青木謙順(自民党県議団、5期、津市)、長田隆尚(草莽、4期、亀山市)、山本教和(自民党、9期、志摩市)の4議員が一般質問した。鈴木英敬知事は山本議員の質問に対し、県立水産高校(志摩市)の実習船「しろちどり」を新調する方針を表明した。建造から20年が経過して老朽化したため。令和3年度中に設計を開始し、5年度末の完成を目指す。
◆危機管理体制に疑問 ― 中瀬信之議員(新政みえ)
県の災害対策本部長を務める鈴木知事の出張が「おおむね4日に1日」とし、危機管理体制を疑問視。県当局は常に知事と連絡を取れる体制にあると強調し、万が一の事態には副知事らが代行すると説明した。

【高齢者】
中瀬議員 多くの高齢者は新型コロナウイルスの感染防止対策で外出を極端に控えていることから、認知症や病気の重症化が懸念される。高齢者が元気に暮らせるよう応援すべき。高齢者の孤独化をどう認識しているか。

加太医療保健部長 閉じこもりの増加を危惧し、認知症への影響も懸念している。介護予防を啓発するチラシの配布や生活支援コーディネーターの養成などで市町を支援している。早期の認知症ケアにつなげるモデル事業やITスクリーニングも引き続き実施する。

【災害時】
中瀬議員 地震は予知できず、訓練のような万全の対応は難しい。災害時に本部長を務める知事の県外出張は年間84日で、おおむね4日に1日が不在。直ちに戻れない状況もたくさんあると思う。危機管理統括監の役割は。

服部危機管理統括監 知事が出張などの場合でも外出先からの電話やタブレット端末、公用車に備えている衛星電話などを活用して指示を出せる体制にある。万が一、知事に事故などがあった場合は副知事、危機管理統括監の順に指揮を代行する。
◆津駅前の歩道活用は ― 青木謙順議員(自民党県議団)
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける飲食店を支援するため、国がテラス席を設置しやすくする歩行者利便増進道路制度を設置したことを踏まえ、津駅前の歩道の活用について尋ねた。県は空間利用で需要を把握し、制度の活用を検討する考えを示した。

【津駅前】
青木議員 コロナ対策で道路のテラス営業のための歩道の利用が条件付きで認められるようになった。県内でも鈴鹿市の一部で利用が始まった。県では新たな歩行者利便増進道路制度を津駅周辺の活用も含めてどう考えるか。

水野県土整備部長 津駅周辺については県内外の実績を踏まえ、空間利用のニーズを整理し、検討する。津駅東口の目抜き通りである県道津停車場線は6車線で、かなり余裕がある。歩道空間の拡張を含めてにぎわいの創出を考えたい。

【森林環境教育】
青木議員 県は森林林業の知識を持つ人材を育成するため、みえ森林・林業アカデミーを設置した。一方で、県の森林環境教育は連続性のあるものになっていない。アカデミーの今後の方針は。

知事 これまで体型化されていなかった林業の人材育成や森林教育、研究や普及といった機能を一元化し、みえ森林・林業アカデミーに集約させることで森林教育の体系化を推進しつつ、子どもから大人まで一貫した人材育成を展開する新たな体制へと進化させる。
◆企業融資実績尋ねる ― 長田隆尚議員(草莽)
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた県内の中小企業や小規模企業が県の制度を利用して受けた融資の実績を尋ねた。県当局は24日までに、信用保証協会の承諾ベースで1万5千件、2869億円に上ると明らかにした。

【リニア】
長田議員 リニア中央新幹線の東京―名古屋間を巡っては、JR東海の金子社長と静岡県の川勝知事による会談を経ても決着がつかず、2027年の開業が危ぶまれている。名古屋―大阪間の県内駅位置は、どのような行程で検討するのか。

知事 名古屋―大阪間は可能な取り組みを全力で進める。市町長らと駅位置の候補を検討し、来年度には有識者に地域特性や移動時間短縮の効果などを伺う。2022年ごろの県同盟会総会で駅位置の候補に関する決議をしてJR東海に要望したい。

【融資】
長田議員 県は新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業や小規模事業者の資金繰りを支援するため、大きく分けて3つの融資制度を設けている。県の制度により、これまでにどれだけの融資が実施されたのか。

島上雇用経済部長 2月から融資枠を拡大し、総額で約4千億円の融資枠を確保している。信用保証協会は既に1万5千件、約2869億円の保証を承諾した。現在の需要が落ち着いているが、大幅な需要が見込まれる場合は必要な対策をしたい。
◆真珠養殖業に支援を ― 山本教和議員(自民党)
新型コロナウイルスの感染拡大で渡航が制限されているため、県産真珠を海外で販売する機会がなくなったと指摘し、県に支援を求めた。県は、オンラインでのイベント開催などで県産真珠の魅力を発信する考えを示した。

【真珠】
山本議員 真珠の取引は香港が中心になりつつあるが、市が3月から開かれていない。コロナの影響で加工や流通が元気ではないと言われている。三重の誇りとして養殖業者は頑張っているので、県の支援をお願いしたい。

前田農林水産部長 新型コロナウイルスの感染が拡大した影響で香港や神戸でのジュエリーショーが延期され、真珠の流通が停滞している。オンラインで発信するPRプラットフォームの整備やオンラインのイベント開催を通じて、真珠の魅力発信につなげる。

【しろちどり】
山本議員 水産高校のシンボルが実習船「しろちどり」。平成12年の建造以来、20年が経過した。全国の水産高校の実習船で最も年数がたっている。いよいよ新造船に着手しなければならないときが来た。知事の決断を。

知事 生徒の安全を確保するとともに、最先端の航海技術を学び、世界に通用する人材を育成することが必要。早急に建造に向けた取り組みを進め、令和5年度末の完成を目指す。しかるべき時期に議会に関連予算を計上したい。

 

<記者席>知事不在に“けん制”
 ○…災害時に訓練通りの対応ができるのかと疑問を呈した中瀬議員。その一例に災害対策本部長を務める知事の「不在」を挙げて「4日に1日が不在。即座に対応するのは不可能では」と指摘した。

○…国政転出がうわさされる知事への“けん制”とも取れるが、答弁は服部危機管理統括監。三重国体の質問でも「開会宣言は知事に」と訴えたが、知事は答弁せず。どなたか〝核心〟に迫る質問を。

○…津市選出の青木議員は、高校1年だった昭和48年に津駅ビルのチャムが開業した思い出を披露。「大勢の人が行き交っていた津駅前は、当時の私にとってすごい都会に見えた」と振り返った。

○…その上で「秋田県から出てきた菅総理もそうだったのではないか」と自らを重ね合わせたが、秋田駅はその後も着実に変貌を遂げて新幹線の終着駅に。菅首相が津駅を見たらどう思うだろうか。