コロナ禍の活力に ステンレスで松のオブジェ 町工場が制作、完成は1年後

【制作中の松のステンレスオブジェを紹介する山本代表(右)と晴久さん=度会町棚橋の大河内で】

【度会郡】三重県度会町棚橋でステンレス加工などを手掛ける有限会社「大河内(おおこうち)」が、ステンレス製の松の木を制作している。コロナ禍によりさまざまな業界が甚大なダメージを受け、元気がなくなっている昨今、「創生の松」と名付け、田舎の町工場が作るオブジェが同町や県、日本の活力になればと、熟練の技術を駆使した手作業で自分らの思いを形にしている。

同社は昭和38年創業。山本真太朗代表(39)と父親の晴久さん(68)らは食品工場の備品や建築金物を製造するほか、花器やオブジェなど多彩な自社ブランド製品を生み出している。

制作中のオブジェは、山本代表が当初自社モニュメントにしようと晴久さんに依頼し、1年半前から制作が始まったが、コロナ禍を経て、現在は観光スポットなどへの呼び水として活用できればとの思いで進めている。

晴久さんは以前に作ったミニチュアの松のオブジェが、第25回優秀板金製品技能フェア造形品の部で金賞を受賞した経歴の持ち主。「自分は根っからの職人。人が簡単に作れない物を作りたい」と話す。

オブジェの高さは2・5メートル、幅3メートル、奥行き2・5メートル。人体をイメージし、枝ぶりや幹と葉のバランスを見ながら作業を進める。一番苦労しているのは葉の部分で、手にまめを作りながらステンレスの溶接棒12本をばらけないように手作業で組み合わせ、一本一本を繊細に表現。安全性を考慮して葉先は溶接で丸く焼いた。

今年に入ってからは新型コロナウイルスが猛威を振るい、制作を一時中断しようと考えた時期もあったが、継続を決め、日本古来からの縁起物として、松だけでなく竹と梅のオブジェも作ることにした。

社員の山口朋寿さん(25)が竹を担当。余った材料を有効活用し、竹の雰囲気が出るように試行錯誤した。中心となる松のオブジェを竹で囲み、ベンチも作る予定だ。8月頃からやっと形になってきたという松も見事な枝ぶり。幹の部分も磨いたり溶接で模様を付けたりとさまざまな技術を駆使している。今後取りかかる梅を含め完成は約1年後を見込み、社員一丸となって取り組んでいくという。

山本代表は「この時代に中小企業の自分たちでもやれるんだとアピールし、父の技を後世に残したい。人を呼び込むモニュメントとして、観光スポットや県庁前などに置いてもらえれば」と思いを膨らませ、晴久さんは「(制作が)やっとここまできた。自分は一生懸命作るだけ」と笑顔で話した。