「心のつながり」書で伝える 尾鷲で伊藤さん作品展 三重

【馬越峠で制作した作品と伊藤さん=尾鷲市向井の県立熊野古道センターで】

【尾鷲】三重県紀北町出身の書家、伊藤潤一さん(33)の作品展が尾鷲市向井の県立熊野古道センターで開かれている。熊野古道・馬越峠で書いた作品など、15点を展示している。11月8日まで。入場無料。

松阪市在住。20歳の時、四日市市で開かれた書家の展覧会で、作品の前に人が集まる光景を見て衝撃を受けた。「人と人とのつながりが生まれる作品を作りたい」と、独学で墨や道具について学び、創作活動に取り組むようになった。平成28年の伊勢志摩サミットでは、配偶者プログラムの夕食会場に飾る作品や会場装飾を手掛けている。

東日本大震災発生後には宮城県石巻市などを訪れ、仮設住宅を回って表札を書くなどボランティア活動に取り組んだ。被災した家屋を解体するボランティアでは「作品を作っている自分が物を壊していることにジレンマがあり、無くならない物を作りたいと思うようになった」と振り返る。

今回の作品展では、4月に大紀町の頭之宮四方神社であった新型コロナウイルス鎮静祈願祭に奉納した「人」という字が2つ並んだ作品を展示。「人と人との距離は離れていても、心のつながりは忘れてはいけない」との思いを込めた。展示に合わせて8月に熊野古道・馬越峠で制作した「道」「祈」の作品は、古道のわき水を使っている。

伊藤さんは「千年先も文化が大事にされる平和で魅力的な時代であるよう願い、作品を作っている。作品の背景にある思いも感じとってほしい」と話している。