麻酔科医が改ざん2200件、2800万円超の不正請求 三重大病院が会見

【記者会見で、医師によるカルテの改ざんを陳謝する伊佐地病院長(右)=津市栗真町屋町で】

【津】三重大医学部付属病院(津市)の伊佐地秀司病院長は11日、津市栗真町屋町の三重大学で記者会見し、同病院の医師が2年間にわたり、手術中に使用していない薬を投与したかのようにカルテを改ざんし、総額2800万円超の診療報酬を不正請求したとする第三者委員会の調査結果を発表した。「患者や家族、県民の皆さん、関係者には多大な心配と迷惑をお掛けした。誠に申し訳ない」と陳謝した。

同病院によると、改ざんしたのは40代の男性麻酔科医。平成30年4月―今年3月まで、約2200回にわたって抗不整脈薬「ランジオロール塩酸塩」を手術で使ったとする虚偽の記載を繰り返していた。記録の改ざんのため、患者への健康被害はない。

この医師の上司の50代男性麻酔科医は、同薬剤の積極的な使用を診療科内で推奨。改ざんした40代医師は調査に対し「(上司に)よく思われたいという意思でやった」と話しており、同病院は薬の使用実績を上げるために不正を繰り返したとみている。

同病院は不正の背景に製薬会社の関与があったかどうかについて「(製薬会社と医師との間で)不正な金銭の授受があったという事実は把握していない」と否定。一方、製薬会社が診療科に金銭を寄付していたと明かし「積極的に使えば製薬会社にアピールできる。寄付金をお願いしたい意思があったのは否定できない」と説明した。

伊佐地病院長は「麻酔科医は緊急に対処しなければならないため、あらかじめ薬を用意しておくことが頻繁にある。手術中に使う可能性のあった薬は請求してよいという文化が診療科内にあった。その文化をたださないといけない」と述べた。

同病院は3月末に不正が発覚した後、医師2人を4月7日から自宅待機としている。今回の調査結果を受け、2人の処分について大学の審査委員会で検討する予定。カルテの改ざんは公電磁的記録不正作出などの疑いがあるため、刑事告訴も検討する。