2020年9月3日(木)

▼政府の「偏見・差別とプライバシーに関するWG」で、鈴木英敬知事は新型コロナウイルスの特措法に「差別」や「偏見」の文言がないと指摘し、ネット上の対策や被害者支援の必要性を訴えた

▼不適切な書き込みを知らせる県教委のアプリや、伊賀市が京都、奈良などの市町村と定めた定住自立圏としての圏域証を緊急事態宣言中に住民に配布したことなどを例示し、差別解消策を紹介したという。偏見・差別を感染症に限定していないのはいいことだ

▼ネット上の誹謗(ひぼう)中傷も古いことで、一般への普及が始まった平成16年には始まり、学校裏サイトが問題になった同20年ごろには伊賀市の中学校教諭有志らでネットパトロールが始まった。県教委も調査・啓発などを進めたが、東京の業者などに監視を委託し熱意は薄れた

▼知事が紹介した県教委のアプリは、鈴鹿市の中2暴行死事件を契機にいじめ防止条例制定へ向かう中で同29年から改めて取り組んだ施策。県が再調査することなった県立高1男子自殺問題は遺族からのスマホの提出で重大事態と判明した。機能しているか疑問。障害者差別防止条例も実効性は不透明

▼ヘイトスピーチ解消法は県が施策に反映した形跡はない。成立の28年、知事は人権尊重メッセージを発した。現在も存在する差別や人権問題として「同和問題、子ども、女性、障害者および高齢者等」を上げたが「外国人」はない

▼「等」に含めたか、朝鮮学校補助金を停止したばかりで後ろめたかったか。今回、偏見・差別を感染症対策に限定しなかったのは、一歩前進と歓迎したい。