
【鳥羽】南海トラフを震源とする震災や津波被害に備えて、三重県鳥羽市の相差町自主防災会(中村幸照会長)は9日、同町千鳥ヶ浜海水浴場で避難訓練を実施し、海水浴に訪れていた観光客など約300人が参加した。
県発表の被害想定によると、同海水浴場では最大波高5―10メートルの津波が来る恐れがあり、地震発生から約10分で到達する可能性が高いとされている。
同防災会ではこれまでも定期的に、市との共催や単独での訓練を実施してきたが、海水浴客を想定した訓練は未経験だったことから、今回初めて企画した。
訓練では、南海トラフを震源とする震度6強の大地震の発生に伴い、県南部に大津波警報が発令されたと想定。防災行政無線で浜辺一帯に注意を促した後、視覚に訴える注意手段として気象庁が6月から各自治体に運用を呼びかけている、紅白の格子模様の「津波フラッグ」(縦約120センチ、横約2メートル)を初めて採用し、堤防への避難を促した。
中村会長(65)は「いつ震災が起きてもおかしくない中、知らない土地に来た観光客をいかに逃がすかが重要。知らせる手段として使っていきたい」と話した。
大阪府から家族で訪れた男性(66)は「いざというときにどう行動したらいいかを知るためにもいい訓練と思う」と話していた。