対人競技の高校部活動 感染防止との両立模索 三重

【柔道場につるしている綱を使って鍛錬する四日市中央工高柔道部員ら=四日市市内で】

新型コロナウイルスの影響で休止していた三重県立高校の部活動が6月1日に再開した。集団感染や体力不足に起因するケガなどへの不安がぬぐえない中、手探りで活動が始まっている。特に密着が避けられない対人競技に取り組む運動部では、感染防止と活動の両立に向けた模索が続いている。

柔道男子で全国大会常連の四日市中央工業高校(四日市市)は組み合った練習の導入に今でも慎重だ。全日本柔道連盟が公表した練習再開に向けた指針に従い、部活動再開直後は走り込み、ベンチプレス、綱登りなど接触のないフィジカルメニューに限定。柔道場の外で鬼ごっこに取り組んだ日もあった。

再開から2週目以降、受け身や1人打ち込みなどの実技を一部解禁したが、「道着を着ればどうしても技をかけあってしまう」と柔道着に袖を通すことは極力避けている。

1年生部員の中には受験期間を挟んで1年近く練習できていない生徒もいる。柔道部監督の岩本裕史教諭は「ゆるやかな傾斜で(体力や感覚を)戻していきたい。指導者も気持ちを上げすぎないようにしている」と自戒を込める。

今年1月米ワシントンで開かれたレスリングの日米親善国際交流で55キロ級日本高校代表に当時2年生の高塚晴成主将が選出された朝明高校(四日市市)は日本レスリング協会のガイドラインに沿い、6月の3週目から2人一組の技術練習を始めた。

部活動再開から2週間は接触をともなわない練習に専念。階段を使ったトレーニングなど行い、部員らの体力を見極めた上で徐々に本格的な練習を始めている。

ただ実技は立ち技が中心で、けがのリスクが高い寝技では力の入れ具合に細心の注意を払う。使用するマットは1日4回、消毒液に浸したぞうきんで拭くなどして感染リスク低減にも神経を使う。

主要大会が軒並み中止となり、目標とする大会を失った生徒の心のケアも課題だ。県高体連のレスリング専門部委員長も務める朝明の橋爪幸彦教諭は特に3年生に対して「次に向かうモチベーションをどう持たせてやるのかが大事」。他校の指導者と協力して夏休み以降、中止が決まった県高校総体の代替大会開催を目指している。

休校期間中、仲間とオンラインで自主トレーニングに励んできた高塚主将は「自分たちが努力した成果を発揮する場所が欲しい」と開催を歓迎。高塚主将らを除けば就職希望の部員が多く、橋爪教諭は代替大会の成果を高校生活の実績に加えてやりたいと願う。

柔道は県総体の代替大会実施が見送られたが、四日市中央工の3年生もそれぞれの目標へ歩みを進める。出場を予定していた全国高校柔道選手権が中止になった3月に進路調査を行い、進学希望の3年生については前監督の弓矢竜太教諭らが中心となって各方面と連絡を取り5月上旬にはほぼ進学先を決めた。

五輪メダリストも輩出した関東の名門大への進学が内定した紀藤尋は高校時代あと一歩で叶わなかった個人での全国大会出場を大学で果たし「支えてくれた人たちに恩返しする」と顔を上げる。「早い時点で次の目標が決まり焦りがなくなった」と話す竹原柊馬主将は「強い四中工を維持してもらいたい」と話し、後輩たちの練習への協力も惜しまない。