亀山のブラジル人男児虐待事件 ペルー人の女に有罪判決 三重

三重県亀山市で昨年10月に起きたブラジル人男児チアゴ・ファン・パブロ・ハシモト君=当時(5つ)=への虐待事件で、暴行の罪に問われた鈴鹿市、ペルー国籍の無職ベルムデス・パーラ・ラケル・ジュディ被告(39)の初公判が1日、津地裁であり、ベルムデス被告は起訴内容を認めた。即日判決となり、柴田誠裁判官は懲役1年、執行猶予3年(求刑・懲役1年)を言い渡した。

検察側の冒頭陳述によると、ベルムデス被告は昨年10月10日、自宅の床で横になっていたチアゴ君に起き上がって走るように指示したが、従わなかったためベルトで腰を1回殴ったとされる。その様子をスマートフォンで撮影し、動画をメキシコ国籍の内縁の夫ワタナベ・ゲバラ・アレハンドロ被告(42)=傷害罪などで起訴=に送信した。

ベルムデス被告はワタナベ被告と、ベルムデス被告の長女(9つ)、長男(3つ)の4人で亀山市のアパートで暮らしていたが、昨年2月ごろにチアゴ君と、その兄(9つ)を預かったとされる。検察側は両被告がチアゴ君兄弟を虐待していたと主張した。

判決理由で柴田裁判官は「普段から度を越した体罰を繰り返す中での犯行。密室の中でのことであり、エスカレートする危険が多分にあった」と指摘。一方「被害児童の養育にストレスをためて精神的に追い込まれていたことが背景にある」と述べた。

県警捜査一課によると、チアゴ君は昨年10月、このアパートで意識不明の状態で倒れているのをベルムデス被告に発見され、搬送先の病院で死亡した。死因は外傷性脳障害。県警はベルトでの暴行とは別の虐待が原因で死亡した可能性がるとみて関連を調べている。
■「死んじゃうよ」男児訴え 事件背景に育児ストレス■
チアゴ・ファン・パブロ・ハシモト君=当時(5つ)=に対する暴行の罪に問われたベルムデス・パーラ・ラケル・ジュディ被告(39)の初公判。検察側はベルムデス被告がチアゴ君の腰をベルトでたたく様子を撮影したとされる動画を紹介し、チアゴ君が「死んじゃうよ」と訴えていたことを指摘した。一方、弁護側は「虐待ではなく、育児に苦悩して起こった事件」と主張。柴田誠裁判官は「罰金刑で済ませるわけにはいかない」と述べる一方、事件の背景に育児ストレスがあったことを認定した。

検察側が紹介した動画はベルムデス被告には見える形で、傍聴席には音声だけが聞こえる形で1分ほど流された。ベルムデス被告とみられる女の声とチアゴ君とみられる子どもの声が流れ、外国語でやりとりしていた。動画の後半には「バシッ」という何かをたたく音が法廷に響いた。

検察側は、ベルムデス被告が以前からチアゴ君を「自宅の廊下で走らせたり、暴行を加えたりしていた」と指摘。検察側の被告人質問で、ベルムデス被告はチアゴ君の腰をベルトでたたいた理由について「床の上で排尿をして立たなかったから」と説明した。

一方、弁護側の被告人質問でベルムデス被告はチアゴ君とその兄(9つ)を預かるようになった経緯について「内縁の夫が突然連れてきた。預かった当初から兄弟を両親の下へ帰すよう夫に頼んだが、聞き入れてもらえなかった」と話した。

チアゴ君は昨年10月に外傷性脳障害で死亡しており、体には10数カ所のあざのほか、やけどの跡もあった。内縁の夫ワタナベ・ゲバラ・アレハンドロ被告(42)はチアゴ君に対する傷害罪、兄に対する暴行罪で起訴されている。