注文紳士服店が苦境 入学入社式中止でスーツ新調機会なく 四日市 三重

【「苦しい現状を知って」と話す伊藤代表=四日市市北浜町のサルトリアで】

【四日市】新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、三重県四日市市北浜町の注文紳士服店「サルトリア」が苦境に立たされている。例年、2月から4月にかけては大きく売り上げを伸ばすシーズンだったはずが、入学式や入社式の中止、延期が相次いだ。各種団体の会合などもなくなり、スーツを着る機会がめっきり減って大きな打撃を受けた。

同店は平成12年の創業。イージーオーダーをメインに、フルオーダーも手掛ける。創業者の伊藤正巳代表(64)は、祖父の代から続く大正13年創業のフルオーダーの専門店「テーラーイトウ」も引き継いでおり、2つの屋号を掲げる。

店の売上は外商の顧客が7割を占め、3割が来店客。外出自粛の影響で、3月中旬から客足が途絶えた。人との接触を減らすため営業に回ることもできず、ここ数カ月は八方ふさがりの状態だ。

だからといって、下を向いているわけでない。店で手作りマスクの販売も始めた。4月20日ごろからゴールデンウイーク期間中に100枚ほどを製作。価格は税込みで1100円。購入者からは「一日中着けていても楽」と好評で、すでに残りわずか。今後しばらくはマスクを着用する生活が続くため、これから夏に向けて涼しいマスクや、今の状況下でも洋服とのコーディネートを楽しんでもらえるような「オシャレなマスクも作ってみたい」と話す。

大手アパレルメーカーの経営破綻のニュースが流れた。緊急事態宣言は解除されたものの、先行きが見えない。注文紳士服店は衣料店の扱いで県の休業要請の対象外になり、協力金もでない。

伊藤さんは「厳しい状況の中でもお客さまに助けられてなんとかやっているが、自分の努力だけではどうにもならない。業界の現状を知ってほしいし、個人の店が救われるような制度であってほしい」と訴えた。