県内一部店舗に休業要請 三重県が緊急事態措置 協力事業者に50万円

【「緊急事態措置」を発表する鈴木知事=三重県庁で】

政府が新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「緊急事態宣言」の対象地域を全国に広げたことを受け、三重県は20日、特措法に基づく「県緊急事態措置」を発表した。県民には外出自粛の徹底を求めたほか、一部の店舗には休業や営業時間の短縮を要請。県の要請に応じた事業者に一律50万円の「協力金」を支払う。利用客からの予約を断った宿泊事業者に特化した協力金も設けた。

県によると、措置の対象期間は20日―5月6日まで。県民に対し、生活の維持に必要な場合を除いて外出を自粛するよう要請。特に5月の大型連休中は外出の自粛を徹底するよう求めている。

県が休業要請の対象とした業種は、おおむね愛知、岐阜両県などと同じ。パチンコ店やカラオケボックスのほか、映画館やボウリング場、スポーツクラブなどに対し、20日から5月6日までの休業を求めた。

商業施設は、床面積が1000平方メートルを超える店舗に休業を要請。飲食店は午前5時―午後8時に営業時間を短縮するよう求める。スーパーやコンビニなど、生活必需品を販売する店舗は対象外とした。

この要請に応じた中小事業者に対し、愛知県などと同様に一律50万円の「感染症拡大阻止協力金」を支払う。約1万社が休業や時短営業の対象となる見込みで、協力金の総額は50億円に上る見通し。

一方、県内の宿泊施設に大型連休中の予約が相次いでいるが、特措法上は「安定的な生活の確保に必要な施設」に当たることから休業は要請せず、宿泊客に対する延期の依頼や事業の縮小などを求める。

また、県内のホテルと旅館を対象に、県独自の「宿泊予約延期協力金」も設けた。一施設につき12万円を上限とし、25―5月6日までの間で予約を断った場合、一人の宿泊につき6千円を施設に支払う。

「事実に基づく冷静な対応」も求めた。感染を巡っての人権侵害や誤った情報の拡散を「絶対に」しないよう要請。「感染者の関係者宅に石が投げ込まれ、ガラスが割られる被害があった」(県幹部)という。

鈴木英敬知事は20日の記者会見で「感染者数は全国に比べると少ないが、直近の急増を考えると厳しい状況。今がまさに全県民で対策をすべきとき。大変に緊迫した状況だと理解してもらいたい」と述べた。

宿泊施設への協力金を設けた理由ついては「現在でも県外から相当にたくさんの予約が入っている。感染が広がれば、風評被害による影響が出る。観光地を守らなければならない」と語った。
■「一律50万円」は最高額 感染拡大に強い危機感■
県によると、特に重点的な対策が必要とされる「特定警戒都道府県」以外で協力金の支払いを表明しているのは、今のところ三重、山形、栃木の3県だけ。その中でも三重の「一律50万円」は最高額だ。

政府の交付金を財源とする考えだが、交付は確定ではなく金額も未定だ。「たとえ国が出してくれなくても踏み切ることにした」と鈴木英敬知事。「財政健全化は道半ば」の県としては思い切った政策だ。

政府が緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大したことだけが、その理由ではなさそう。背景にあるのは感染拡大への強い危機感だ。感染者は隣県に比べると少ないが、その「伸び」が懸念されている。

県によると、19日までに県内で確認された感染者は36人。人口当たりの感染者数としては、全国のうち30位台で推移している。19日に400人を超えた愛知などの隣県と比べても大幅に少ない。

ただ、県内の感染者は最近になって急増している。感染者の半数以上に当たる19人が14日からの6日間での確認。当初は北勢での確認が目立ったが、今月に入って明和町や志摩市などにも拡大している。

全国の「伸び」と比べると、より深刻さが増す。特定警戒都道府県の感染者数は、10―17日の間で平均して1・62倍となった。一方、県内では同じ期間中に、それらを大きく上回る2・13倍だ。

この事態を受け、県は特定警戒都道府県と同じく、事業者に休業や時短営業を強く求める必要があると判断した。休業を促すには「他県に見劣りしない金額」(県幹部)の協力金を示す必要があったという。

一方、県は協力金について、事業者への「補償」ではなく、あくまで休業を促すための給付と位置付けている。鈴木知事は「経営支援は他の制度があり、そちらの方も充実させる必要がある」と話す。