県民参加予算の継続検討 三重県議会 一般質問で知事答弁

三重県議会2月定例月会議は2日、東豊(草莽、3期、尾鷲市・北牟婁郡選出)、西場信行(自民党、10期、多気郡)稲垣昭義(新政みえ、5期、四日市市)、木津直樹(自民党県議団、2期、伊賀市)の4議員が一般質問した。鈴木英敬知事は本年度当初予算案の編成で初めて導入した県民参加型予算(みんつく予算)について「一定の改良を加えて継続の方向で検討する」などと述べ、来年度以降も継続させる考えを示した。

 

■ICTで医療充実を ― 東豊議員(草莽)
東議員はICT(情報通信技術)などを活用して医師のキャリア支援や救急医療を充実させるよう要請。県当局は医療現場へのICT導入を支援する費用として、令和2年度当初予算案に約3400万円を計上していると説明した。

【地域医療】
東議員 重要なことは、必要なときに適切な医療が受けられるか。医師が偏在する中でも救急医療を受けられるようにしなければならない。オンライン診療など、ICTを活用した医療体制網の整備が必要だと考える。

福井医療保健部長 令和2年度当初予算では、ウェブ会議や画像転送など、ICTを活用した地域医療の支援に3471万円を計上した。医師不足の地域に派遣された医師が助言を受けることができる。画像診断の導入で救急医療の充実も図る。

【尾鷲港】
東議員 尾鷲市の尾鷲三田火力発電所が平成30年12月に廃止された。尾鷲港の港湾計画を、県が主体的に見直しを進めるべき。ここがターニングポイントだと思っている。東紀州地域の道筋を付けてもらいたい。知事の所見は。

知事 尾鷲三田火力発電所ができた当時は人口増加局面だったが、現在は人口減少が進んでいる。東紀州の広域的な課題と捉え、積極的に支援したい。ピンチをチャンスに変える腕の見せ所だと思っている。当事者意識を持って知恵を結集したい。

 

■初期斎宮の観光振興は ― 西場 信行議員(自民党)

斎宮跡の発掘調査が始まってから50年の節目を迎えるのに当たって、解明が進む初期斎宮をどう観光振興につなげるのか尋ねた。県は本年度に撮影した発掘調査の映像を新年度に編集し、斎宮歴史博物館(明和町)で令和三年度に公開する考えを示した。

【斎宮跡】
西場議員 本年度は初期斎宮の門などが掘り出された。1月に開かれた現地説明会にはかつてないほど多くの人が参加し、関心の高さを感じた。初期斎宮の解明が進む中、観光振興をどう進めるのか。

井戸畑環境生活部長 初期斎宮の採掘が進み、観光資源のポテンシャルが非常に高い。本年度から発掘調査の状況を撮影している。令和3年度の完成を目指して新年度には映像展示の制作に着手する。今秋には史跡斎宮跡発掘50周年記念として初期斎宮をテーマにした特別展を開催する。

【大杉谷】
西場議員 大杉谷を含む「吉野熊野国立公園」の奈良、和歌山両県にはビジターセンターがあるものの、三重県にはない。観光振興のために「大杉谷ビジターセンター」の設置を国に要望活動すべき。

前田農林水産部長 吉野熊野国立公園の県側には雄大な自然や森林鉄道跡など大杉谷ならではの価値があり、ビジターセンターの設置は魅力発信で有効と考える。場所の選定をはじめ、さまざまな検討が必要。引き続き環境省に要望する。

 

■「みんやめ予算」提案 ― 稲垣 昭義議員(新政みえ)

必要のない事業を県民に選んでもらう「みんやめ予算」の導入を提案。鈴木知事は「選ばれた結果だけで事業の廃止を判断するのは難しい」としつつ、事業を効果的に見直す方法を検討する考えを示した。

【みんつく予算】
稲垣議員 自分たちが払った税金の使い道を自分たちで決める仕組みは必要。県が本年度当初予算から導入した「みんつく予算」の深化に期待する。「身内感やお手盛り感がある」「採用された事業は斬新ではない」との声もある。

知事 行政では発想できない提案に職員が大きな刺激を受けなど、一定の成果があった。「テーマを自由にしてほしい」との意見も寄せられ、どのように関心を持ってもらうかも課題。制度を検証し、一定の改良を加えた上で、継続の方向で検討したい。

【みんやめ予算】
稲垣議員 正月の伊勢新聞でキャリア座談会が特集され、必要のない事業をやめる「みんやめ予算」が提案されていた。事業を進める側が事業について要らないとは言いにくい。県民から指摘してもらう仕組みがあっても良い。

知事 事業の先には県民がいるため、十分な議論なしに選ばれた結果だけで事業の廃止を判断することは難しいが、スマート改革検討チームも優先度の低い事業の廃止を提案していた。事業を効果的に見直すために、どんなことができるかを庁内で議論したい。

 

■野生イノシシ捕獲を ― 木津 直樹議員(自民党県議団)
豚熱(CSF)の感染拡大を受けて感染源とされる野生イノシシの捕獲を強化する必要性を指摘し、県の取り組みを尋ねた。県は捕獲を促進するため、県独自の補助金制度を創設すると説明した。

【CSF】
木津議員 CSFの感染が拡大している。感染源と考えられる野生イノシシの捕獲は獣害対策としてだけでなく、感染対策としても重要。イノシシの捕獲のこれまでの取り組み成果と新年度の捕獲強化に向けた取り組みは。

前田農林水産部長 昨年12月末時点での捕獲頭数は前年度を上回っている。一過性とならないよう強化策が必要。3年間で集中的に捕獲を強化する。例年、捕獲が低調となる4―6月の捕獲を増加させるため県独自の補助金制度を創設して春季の捕獲を促進する。

【消費者教育】
木津議員 令和4年度から成年年齢が18歳に引き下げられる。親の同意なしに携帯電話やローンの契約ができ、トラブルの発生が懸念される。4月の高校入学者は、3年生で18歳成年となるため、より充実した消費者教育をすべき。

廣田教育長 4月の高校入学者は在学中に成年年齢に達するため、消費者教育を2年生のうちに実施することとしている。より現実的な場面を想定した教育をする。契約トラブルの対処法を学ぶ教材を使い、ネットショップにおけるトラブルなどを取り上げる

 

<記者席 ― 本誌記事を相次ぎ取り上げ>
○…近ごろ、県政に関する本紙の記事が相次いで県議会の本会議に取り上げられている。個人的には「記者冥利に尽きる」と言っていいほど、非常にありがたく思っている。

○…普段は手前みそに「本紙の記事で」とは書かないが、この日は稲垣議員が「伊勢新聞のキャリア座談会で」と発言したので、水を得たとばかりに紹介した次第である。

○…さらに言うと「みんやめ予算」はキャリアだけの発案ではなく、座談会の前に記者を含む雑談で生まれたのが実際のところで…とまで書けば、やはり手前みそか。失敬。