三重県議会一般質問 動画は広告「説明問題ない」 「世界で話題」アピール

三重県議会2月定例月会議は27日、野村保夫(自民党、2期、鳥羽市選出)、稲森稔尚(草の根運動いが、2期、伊賀市)、今井智広(公明党、4期、津市)、喜田健児(新政みえ、1期、松阪市)、野口正(自民党県議団、2期、松阪市)の5議員が一般質問した。稲森議員は、県が「680万回超の再生回数」とアピールする観光PR動画が広告配信だった問題を取り上げて「県民はどう思うか」と迫った。県当局は「動画の魅力や広告の効果的な活用による結果」とし、県民への説明に問題はないとの認識を示した。

 

■クロノリ被害、対策は ―野村 保夫議員(自民党)
野村議員は、伊勢湾で養殖されるクロノリの色落ちが深刻化しているとし、県の対応策を尋ねた。県は厳しい環境でも色落ちがしにくい品種を開発し、生産現場での実証実験に向けた準備を進めていることを明らかにした。

【ノリ養殖】
野村議員 クロノリ養殖の維持や発展は、伊勢湾の漁業再生を図る上で重要だが、栄養塩量の不足などによる色落ちなどの被害が深刻化している。養殖技術の早急な確立が求められているが、県の新たな取り組みは。

前田農林水産部長 県水産研究所は栄養塩量の分析やプランクトンの調査、色落ちの予測、生育診断などを実施している。栄養塩量が少ない環境でも色落ちしにくい品種や成長の良い品種を開発し、生産現場での実証実験に向けた準備を進めている。

【ドローン】
野村議員 志摩市の間崎島などで大型ドローンを使った実証実験があった。高圧電線や強い風の中でも自動で飛行し、期待がふくらんだ。離島での活用が実現すれば、多くの課題解決につながると思う。活用に向けた県の考えは。

村上雇用経済部長 ドローンは離島や過疎地域で特にメリットがあり、観光振興にもつながると考えている。一方、ビジネス化には安全性やコストなどで課題もある。引き続き実証実験を支援し、飛行ルートの策定や必要なインフラ設備の調査も進める。

 

■LGBT条例制定を ― 稲森 稔尚議員(草の根運動いが)
LGBT(性的少数者)に対する差別禁止や理解促進を定めた条例の制定を求めた。鈴木知事は「県らしさや実効性について検討する必要がある」とし、9月定例月会議にも制定の是非を示す考えを示した。

【LGBT条例】
稲森議員 平成30年6月の質問でLGBTの差別禁止や理解促進の条例を制定するよう求めた。東京都ではLGBTを理由にした差別の禁止を盛り込んだ条例が施行されているが、県でも条例の制定に向けて動き出すべきでは。

知事 当事者や家族から話を伺い、そのような方々を勇気づけられないかと、あらためて感じている。一方で、制定するなら県らしさや実効性について検討する必要がある。9月定例月会議までに検討し、制定の是非を含めて一定の方向性を示したい。

【観光PR動画】
稲森議員 観光局の観光PR動画が2週間で680万回の再生を稼ぎ、県は大々的にPRしたが、有料広告として配信していたことが明らかになった。「世界で話題」とPRした動画が広告配信だと知った県民はどう思うか。

河口観光局長 この広告はユーチューブを視聴する際に県の動画を表示し、30秒以上スキップされずに視聴した場合のみ再生回数としてカウントされる。動画の魅力に加えて広告が効果的に活用されたことで、想定を超えた再生につながったと評価している。

 

■骨髄ドナー登録促進を ― 今井 智広議員(公明党)
骨髄バンクのドナー登録者を増やす必要があると指摘し、ドナー登録を促進する環境整備を求めた。県は新年度に「県骨髄等移植ドナー助成制度」を新たに導入すると答弁。ドナーの休業補償に取り組む自治体に対し、助成金の半分を補給する。

【骨髄ドナー】
今井議員 私は骨髄バンクに登録しているが、一度もオファーはなく、あと2年余りで卒業しなければならない。ドナー登録を増やすため、令和2年度の予算では骨髄バンク事業にどのように取り組むのか。

福井医療保健部長 県骨髄等移植ドナー助成制度を導入することにした。県内では、ドナー助成制度を導入している自治体は5市にとどまっている。新制度を活用し、全ての市町で制度が導入されるように働き掛ける。

【交通安全対策】
今井議員 高齢者の交通死亡事故の原因は、ブレーキの踏み間違えが多い。当初予算案では後付け安全運転支援装置の設置補助を計上している。多くの市町は補正予算での対応になってしまうので、4月にさかのぼって制度が利用できるようにしてほしい。

井戸畑環境生活部長 高齢者のペダルの踏み間違えによる交通事故が社会問題となっている。当初予算編成に間に合わず年度途中から開始する市町では、できるだけ4月1日にさかのぼって補助対象とするよう市町に働き掛けたい。

 

■実習船の代船建造必要 ― 喜田 健児議員(新政みえ)
建造から20年が経過する県立水産高校(志摩市)の実習船「しろちどり」の代船建造について「検討する」という県当局に対し「いつまでに検討するのか」と食い下がった。鈴木知事は「スケジュール感を持って検討するよう指示する」と述べた。

【しろちどり】
喜田議員 実習船しろちどりは平成30年に浸水事故が発生するなど乗船実習を実施するに当たって深刻な影響を及ぼしている。「検討する」という答弁をいただいているが、なんとしても代船建造する必要がある。なんとか踏み切ってほしい。

知事 時期を申し上げるには今手元にファクトがないため、少し整理しなければならない。県教委にはスケジュール感を持って検討するように指示する。

【太平洋・島サミット】
喜田議員 実習船しろちどりの活用をぜひとも部局横断的な連携の上、協議してほしい。「水産王国みえ」の復活に向けて水産高校の果たすべき役割を考え、部局横断的に取り組むべき。県教委としてはどう考えるか。

廣田教育長 水産高校はパラオ高校と姉妹校提携を結び、航海実習でパラオ共和国を訪問した際にはしろちどりの船内を案内するなど交流している。来年に志摩市で開催される「太平洋・島サミット」の地元プログラムで発表機会が設けられないか関係部局と協議することを考えている。

 

■国体選手の就職状況は? ― 野口 正議員(自民党県議団)
来年開かれる三重とこわか国体での天皇杯(男女総合優勝)と皇后杯(女子総合優勝)の獲得に向けて、スポーツ選手の県内企業への就職状況を尋ねた。県は「採用したトップアスリートは令和2年4月採用予定を含めて148人に達している」と答弁した。

【三重とこわか国体】
野口議員 三重とこわか国体に向けて県内企業にスポーツ選手を受け入れてもらっているが、目標数と現状を聞きたい。受け入れ企業の不安解消に向けて、どのように取り組んでいくのか。

辻国体・全国障害者スポーツ大会局長 平成27年度から事業に着手し、200人程度の県内定着を目指して取り組んでいる。トップアスリートの採用を考える企業は200社を超えた。不安の解消を図るため、国体後は他の社員と同一の勤務条件とすることなどを選手と企業の双方に説明し、理解促進に努めている。

【君が代】
野口議員 卒業式や入学式が近づいてきた。市議の頃から君が代の斉唱を求めている。残念なのは、テープレコーダーの音が大き過ぎることと先生の声が聞こえないこと。県教委として現状をどう見ているのか。

廣田教育長 全ての県立高校で入学式と卒業式で国歌斉唱が行われている。多くの学校では伴奏のみの音源や歌詞付きの音源を用いている。学習指導要領を踏まえ、国歌斉唱が適切に行われるよう指導助言する。

 

<記者席 ― 国会中継さながら>
○…国会中継を見ているかのような光景だった。用意した文章を終了時間の直前まで読み上げる河口観光局長の答弁を遮り、稲森議員が「質問に答えてくださいよ」と迫った。

○…かつて県議会の一般質問で「時間を止めて」と声を上げた議員がいただろうか。新政みえの重鎮、三谷哲央議員から「恥ずかしい答弁だな」と、県当局へのヤジも飛んだ。

○…稲森議員の発言に首をかしげる議員や、議事進行への疑義に「後刻、協議します」と述べた中嶋議長も国会さながら。違う点は不信任決議案が出されなかったことぐらいか。

○…卒業式で地元議員が祝辞を述べるのは恒例だが、野口議員には「案内状が来ていない」という。「何かの手違いだと思うが、卒業式に出してもらえないと聞いた」とうらめしげ。

○…廣田教育長が「新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため」として、参加者の縮小を説明するも納得していない様子。野口議員は「私は決して根に持つタイプではない」と言うが、よほど出たかったらしい。