〈まる見えリポート〉「赤福」会長辞任問題 代紋入り焼酎、骨董品店で

伊勢市の老舗和菓子メーカー「赤福」の浜田益嗣会長(82)が、グループ会社に指定暴力団の代紋が入った焼酎の製造、販売を指示していた責任を取り、同社をはじめグループ計六社の役職を全て辞任した問題で、騒動の発端となった恐喝未遂事件で逮捕、起訴された伊勢市の男(68)が津市の三重刑務所で本紙の取材に応じ「代紋入りの焼酎の空瓶を大紀町の骨董こっとう品店で手に入れた」と話した。

男は伊勢市二見町茶屋、無職中川久朗被告(68)。暴力団とのつながりを指摘し、赤福と同社の持ち株会社「濱田総業」から現金を脅し取ろうとしたとして、昨年12月に恐喝未遂の疑いで逮捕、起訴された。25日に津地裁で初公判が開かれる。

中川被告は「昨年11月末に骨董品店で偶然空き瓶を見つけ、3千円くらいで購入した」と語った。中川被告自身と暴力団とのつながりについては「全く関係ない」と否定。「骨董品の収集が趣味なだけ。浜田総業へ行ったのは自分一人の判断」と主張した。

関係者によると、中川被告は鳥羽市の離島・答志島出身。手に入れた書画骨董を知人に売り歩くなどし、生計を立てていたという。
中川被告が焼酎の空き瓶を手に入れた大紀町の骨董品店の店主男性(81)は「先日亡くなった友人が所有していた焼酎の空き瓶がしゃれていたので譲り受けた。空き瓶だったので店には置かず、階段の裏に置いていた」と話した。

店主によると、中川被告は時折来る客という。「あの日もふらっと店にきた。私が別の客を対応していると店内を歩き回り、階段の裏に置いてあった空き瓶を見つけ『これをくれ』と言う。『そんな空き瓶、何に使うのか。ただでいい』と話したが『ただはあかん』と言って2千円を置いていった」と振り返った。

起訴状などによると、中川被告は昨年12月、濱田総業グループの酒造メーカー「伊勢萬」が製造、販売していた指定暴力団の代紋入りの焼酎を取引材料とし「100万か200万円で赤福さんこれ買うてくれへんかな」などと恐喝し、濱田総業と赤福から現金を脅し取ろうとしたとされる。

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濱田総業によると、伊勢萬は平成12年から24年、指定暴力団側から中元や歳暮の品として焼酎「ステラ」を計8180本受注。うち3466本に指定暴力団の代紋や「名古屋弘道会」などの文字を入れて販売し、約8千本の売上総額は1500万円という。

同社によると、浜田氏は平成の初め頃、宴席で暴力団関係者と知り合った。代紋入り焼酎の製造、販売は浜田氏の指示で行われたという。24年、当時の取締役が知人から問題を指摘されたことをきっかけに製造と販売は中止に。ただ、その際に浜田氏と暴力団との関係について取締役会などで責任が追及されることはなかったという。

問題は販売中止から約七年を経て発覚し、浜田氏は先月16日付でこの問題の責任を取る形で赤福会長をはじめ、グループ6社の全役職を辞任した。