
【松阪】水産海洋学会と「熊野灘漁業を考える会」、三重県水産研究所は15日、松阪市高町の県松阪庁舎で「2017年に始まった黒潮大蛇行の三重県漁業への影響」と題して研究集会を開き、約100人が参加した。大蛇行の見通しは「まだまだ強い状態が続いている。かなり長期化することは間違いない」と報告された。
研究集会は、研究機関と漁業関係者が情報共有する狙い。「熊野灘の漁業を考える」をテーマに毎年開き、29回目。県水産研究所の7人が、カツオ漁業やノリ養殖などへの黒潮大蛇行の影響について発表した。
黒潮は大蛇行すると紀伊半島南端の潮岬沖で大きく南へ離れ、再び伊豆諸島付近を北上し、熊野灘は反流が入って高水温になる。平成29年8月から始まって3年目となり、少なくとも今年6月までは継続すると予測されている。
久野正博氏は大蛇行を巡り、「1965年以降、今回を含めて6回発生し、継続期間は最短で1年1カ月、最長で4年8カ月」「昔から繰り返し起きてきた。地球温暖化とは全然違う」と指摘。「あくまで目安だが、過去の大蛇行の最南下緯度と継続期間の相関関係を調べると、今回は2021年12月まで52カ月継続する」と語った。
栗山功氏は昨夏のアコヤ貝の大量へい死について、「高水温でアコヤ貝のエネルギー消費がいつもより大きくなり、例年同様の抑制期間であっても衰弱した」と語り、赤変病対策で低水温処理する漁場も水温上昇のため移す必要が出てくると説明した。