津市の当初予算案 一般会計1096億円 大型事業終了で2年ぶり減 三重

【令和2年度当初予算案を発表する前葉市長=津市役所で】

【津】三重県津市は13日、令和2年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比4・4%減の1096億6千万円。文化ホール「久居アルスプラザ」の建設など大型事業の終了に伴い、2年ぶりに減少に転じた。20日開会の市議会3月定例会に提出する。

歳入では、緩やかな景気回復による個人所得や新築住宅の増加を見込み、市税は5億3千万円(1・3%)増の414億3千万円。昨年10月に消費税率が引き上げられたことから、地方消費税交付金は17・8%増の59億7千万円を見込む。

臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税は209億5千万円。地方交付税総額の増額が見込まれるものの、市町村合併に伴う普通交付税の算定特例期間が平成28年度から段階的に縮減されているため、地方交付税は前年度と同じ180億円となった。

歳出では、会計年度任用職員の導入により人件費が15・4%増の234億9千万円で、全体の二割を占める。扶助費は幼児教育・保育の無償化で給付費が増し、0・6%増の244億5千万円。これらを含めた義務的経費は586億4千万円となる。

投資的経費は40・1%減の96億8千万円で、災害復旧事業費の計上がないため、普通建設事業費全体も同額。10年ぶりに100億円を下回った。久居アルスプラザなどの大型事業が一段落したため、単独事業費は43・2%減の65億5千万円を見込む。

一方、企業会計の一つのモーターボート競走事業会計はプレミアムGIなど人気レースの開催を予定し、28・5%増の506億6千万円を計上。この結果、企業会計が膨らみ、特別会計と企業会計を含めた総額は3・3%増の2564億5千万円となった。

平成28年度以降続けているモーターボート競走事業会計から一般会計への繰り入れは19億円増の20億円とした。繰入金が20億円以上になるのは、旧津市時代の平成3年度以来。財政調整基金からの繰り入れは44・8%減の36億8千万円にとどまった。

前葉泰幸市長は13日の記者会見で、新年度予算を「市民の安全・安心、新たな活力創出予算」と位置付け、「合併時の約束事項が令和元年度に仕上がってくる段階。新しい局面に入っていく中、もう一度市民の安全安心と活力創出を考えたい」と述べた。

モーターボート競走事業会計からの繰り入れが20億円台に達したことについては「人口減少社会に入り、法人市民税が大きくない自治体としては大事な財源。一定、力を蓄えた上で繰り出しをしたいと思っていたので達成感がある」と語った。

 

■解説 ― サービス維持しながら人件費削減は至難の業■
〈解説〉津市の一般会計当初予算案は合併後7番目の規模で、2年ぶりのマイナス編成。前年度まで予算を圧迫していた大型事業が一段落し、投資的経費が4割減少したことが主な要因とみられる。

合併時に旧市町と約束した事業を達成するため、普通建設事業費は平成23年度以降、100億円超が続き、27年度は200億円を超えた。100億円を切るのは、前葉市長の就任後では初めてとなる。

ただ、普通建設事業費の財源となっていたのは、10市町村の合併で生まれた豊富な合併特例事業債。投資的経費が4割減少したからといって、市が自由に使える予算が4割増えたわけではない。

扶助費の増加は避けられず、大型事業の償還も始まり公債費は毎年100億円程度。前葉市長は「人件費はしっかりコントロールしなければならない」として、人件費の削減で義務的経費の抑制に努める考えだ。

将来世代に負担を残さない財政運営はもちろんだが、市のサービスの質を維持しながら、人件費を削減するのは至難の業。合併時の約束事から解放された前葉市長のこれからの手腕に注目が集まる。