<検証・三重県予算>財政支える滞納整理 スマート改革で迅速化へ

【税の滞納整理を強化する三重県庁=津市広明町で】

法人関係税収が景気の動向によって100億円単位で増減する一方、県財政を安定的に支えているのが県民からの税収。中でも個人県民税は700億円前後で推移する「極めて優れた財源」(県職員)と言える。

その安定を保つのが、県の滞納整理だ。預貯金の差押えだけではなく、特別な権限を持つ県職員が住宅を捜索し、財産をインターネットで売却。自動車のタイヤを特殊な装置でロックするケースもある。

県は平成13年ごろから県税の滞納整理を強化してきた。専門的な作業の委託先となる地方税管理回収機構の立ち上げや市町で滞納整理を担当する職員との連携などにより、計画的な差押えを徹底した。

この結果、ピーク時の6年度には104億円に達した県税の滞納は大幅に減少した。27年度は40億円に半減し、28年度以降も30億円代で推移。30年度は30億円と過去最低を更新した。

現状にも甘んじてはいない。県は令和2年度から、金融機関に書類で依頼する必要があった滞納者の財産照会をインターネットで実施できるようにする方針。当初予算案に500万円の関連費を計上した。

最新技術を使って業務の効率を高める「スマート改革」の一環。財産調査を経て差押えに着手するまでの期間が短縮されるそうだ。税収確保課は「よりスムーズに差押えに着手できるはず」と期待する。

滞納整理は財源確保だけが目的ではない。滞納に厳正な対応をすることで、納税者との公平性を担保する狙いもある。「差押えの額を考えれば、むしろ公平性の方が大きい」(県職員)との声もある。

一方で昨春ごろ「自動車税を滞納する複数の県職員がいる」との情報が寄せられた。探ったところ、期限内に自動車税を納めるよう県職員に呼び掛ける庁内向けの文書に、県職員の滞納者数があった。

それによると、平成28年度分の自動車税を期限内に納めなかった県職員は20人、29年度分は31人、30年度分は24人に上るという。ここ数年、職員の滞納は減っていないようだ。

この人数を、どう捉えるか。「公務員が滞納とは何事だ」との批判は想像に難くない。「それほど多くはない」との意見もあるだろう。ただ、それとは別に、この文書には深刻な問題がある。「個人情報」だ。

財産調査の過程で県職員と判明したケースを数えているのだという。調査で得た個人情報を公文書に使うのは「非常にグレーなやり方」(県職員)。危ない橋を渡ってまで、なぜ県は人数を記載するのか。

税収確保課は取材に、この文書の存在を認めた。人数の記載には「個人は特定されないので、法的な問題があるとは考えていない」としつつ「確かに職員から疑問の声を受けたことはある」と明かした。

その上で「具体的な人数を載せる意味は大きい。いまだにゼロにはなっていないことを実感してもらう必要がある」と担当者。「公務員は自らを律してこそ課税できる。滞納すれば説得力を失ってしまう」

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7千億円規模の歳入と歳出が繰り返される県財政は、言うまでもなく県民の税金で成り立つ。その裏側で何が起きているのか。令和2年度当初予算案の発表を機に、5回の連載で探る。