三重県・新年度当初予算案 一般会計7406億5800万円 景気悪化以降で最高に

【当初予算案を発表する鈴木知事=三重県庁で】

三重県は12日、令和2年度当初予算案を発表した。一般会計は知事選後の実質的な当初予算に当たる令和元年度6月補正予算後との比較で2・4%(約170億5千万円)増の約7406億5800万円。2年連続で増加し、景気悪化で大幅に落ち込んだ平成15年度以降の当初予算では最高となった。鈴木英敬知事は「令和の礎と針路予算」と命名。17日の県議会本会議に提出する。

消費税率の引き上げに伴う市町への交付や、防災関連の公共事業費が増加の主な要因。中小企業の支援を強化するほか、最新技術で庁内の業務を効率化させる「スマート改革」の費用も盛り込んだ。

前年度から設けている「観往知来」と銘打つ防災減災対策パッケージには、56億2500万円(7・5%)増の811億2400万円を計上。うち一般会計は687億7300万円を占める。

国の計画より2年早く、全ての県立学校で無線LANやパソコンを整備し、ICT(情報通信技術)の環境を整える。「空飛ぶクルマ」など、次世代モビリティの実用化に向けた取り組みも加速させる。

県民の意見を予算に反映する県民参加型予算(愛称・みんつく予算)を初めて導入。県民投票の結果を踏まえ、食品ロスの削減やインターネットトラブルの防止など、6つの事業に総額5千万円を計上した。

来年の三重とこわか国体・とこわか大会(全国障害者スポーツ大会)の関連経費として24億4800万円を確保。うち16億600万円を開催準備経費に、8億4300万円を競技力の強化に充てる。

各部局は当初予算の編成に当たり、一般財源ベースで歳入の見込みを153億円上回る5613億円を要求。事業を精査や補助金の確保などで歳出を抑えても、53億円の不足が生じた。

このため、県は将来的な借金の返済に備える県債管理基金への積み立てを一部見送った。令和2年度は73億5千万円を積み立てる計画だったが、実際の積み立ては20億1千万円にとどまった。

県は財政難を理由に、平成29年度から県債管理基金への積み立てを見送ってきた。年度途中で積み立てた分を差し引いても、今回の見送りによる積み立て不足の累積は153億1800万円に上る。

県が財政状況を示す指標として独自に設けている「経常収支適正度」は前年度より0・1ポイント改善し、99・7%となった。4年連続の改善で、県は「財政は着実に健全化している」としている。

鈴木知事は12日の記者会見で「防災減災対策や健康づくり、中小企業への支援など、県民に安心して暮らしてもらうための土台に加え、スマート改革など新たな時代も見据えた予算とした」と述べた。

県債管理基金については「遅くとも令和8年度までに積み立て不足を解消したい」と説明。「財政健全化は道半ば。引き続き将来世代にツケを回さないよう、しっかり取り組む必要がある」と述べた。

 

■解説 ― 禁じ手慣例化、また〝ツケ払い〟■
人件費や公債費など、県財政にとって「悩みの種」は軒並み圧縮。経常収支適正度は4年連続で改善し、県税収入もまずまずの状況だ。県は「厳しかった財政は着実に改善ししている」と胸を張る。

ただ、予算上の数値だけを根拠に「改善」と銘打てるかは疑問だ。県は財源不足を埋めるため、今後の借金返済に充てる基金への積み立ての一部を今回も見送る。もはや〝禁じ手〟は慣例化しているようだ。

そこまでして注力するのが公共事業。「県民の安全と安心」を確保するため、河川の掘削などを推し進めるそうだ。ただ、その公共事業も国の補助が減少し、県単独事業が増加している事実は見逃せない。

米中貿易摩擦や中東情勢の緊迫化、新型コロナウイルスの感染拡大など、県財政を悪化させかねない要素も多い。来年の三重とこわか大会・とこわか国体も、財政面では大きな懸念材料ではある。

そんな中で借金返済に向けた積み立てを見送った以上は、今回も〝ツケ払い予算〟と言わざるを得ない。「身の丈に合った予算」を編成してこそ、財政が改善していると言えるのではなかろうか。