<地球の片肺を守る>大きく異なる2つのコンゴ

【リゾート地の雰囲気さえ漂うブラザビルの街並み】

皆さん、世界には「コンゴ」と名の付く国が2つ存在することをご存じですか? 1つは「コンゴ民主共和国」、もう1つは「コンゴ共和国」です。

そして、コンゴ民主共和国の首都であるキンシャサと、コンゴ共和国の首都ブラザビルは、アフリカ第2の大河であるコンゴ川を隔てて、わずか2キロほどしか離れていません。私が住むキンシャサからブラザビルの建物の一つ一つが肉眼で確認できるほどです。

「もしかしたら泳いで行けるんじゃないの?」、「あの大きなビルは一体何なんだろうね?」日頃からブラザビルへの興味をかき立てられてきた私たち家族は、先日、初めてブラザビルへの弾丸ツアーを実現しました。

キンシャサからブラザビルへは小型ボートでたった10分ほど。しかし厄介な出国手続き、船の待ち時間などで、結局、2時間ほどかかって、ようやくブラザビルにたどり着きました。

入国してまず驚いたことは、人であふれ返り、まさに「カオス」と呼ぶにふさわしいキンシャサと比べ、ブラザビルは人がまばらで、街がさっぱりと小奇麗なことでした。そして旅行者として何よりもうれしかったのは治安の良さ!(外務省危険情報:キンシャサの「不要不急の渡航中止」に対して、ブラザビルは「十分注意」)

「隣の芝生」だから青く見えた訳では決してありません。国名に「民主」が入るか入らないかの2カ国ですが、調べてみると、仏語が共通語であることを除けば、国の事情が大きく異なっていることが分かりました。コンゴ共和国はアフリカ有数の産油国でありながら、人口は500万人程度しかいません。どうやら、こうした点が、私のブラザビルの第一印象に影響を及ぼしたようです。

そして、もう1点気になったこと。それはブラザビルにおける中国の存在感でした。アフリカ有数の産油国であることが理由なのか、はたまた、独立後に社会主義を導入した時代があったことが理由なのか…いずれにせよ、ブラザビルでは中国のプレゼンスをキンシャサ以上に強く感じました。街の中心部には、2国間の関係を象徴するかのように、中国とコンゴ共和国が合弁で設立した中国・コンゴ銀行の高層ビルがランドマークとしてそびえ立っていました。

街角で会話した中国人いわく「コンゴ共和国には中国人が5000人くらい在留しているよ」とのこと。それに対して日本人はたったの6人(2019年、外務省)。ブラザビルには日本大使館はおろか、国際協力を実施する国際協力機構(JICA)の事務所も存在しません。街中を走っているタクシーがトヨタのカローラであることを除けば、「日本」を感じることは、ほぼ皆無の状態でした。このため、初日から街角で「ニイハオ!」とあいさつされ続け、最初のうちは「ジャポネ!」と言い返していた私たち家族も、最後には疲れ果て、聞き流すようになっていました(笑)。

別に中国と張り合おうということではありません。しかし、コンゴ共和国での日本の存在感の薄さは、環境分野の日本人専門家として、この地域に派遣されている私の気持ちに何らかの使命感を芽生えさせました。

コンゴ民主共和国とコンゴ共和国、両国などにまたがって広がる世界第2の熱帯雨林地帯コンゴ盆地の保全は、国境を越えて、両国で共に取り組むべき課題です。キンシャサに赴任後、忙しいことを口実に後回しになっていたコンゴ共和国政府との協議をできるだけ早く実現しよう、私はそう心に決めました。
【略歴】大仲幸作(おおなか・こうさく) 昭和49年生まれ、伊勢市で育ち、三重高出身。平成11年農林水産省林野庁入庁。北海道森林管理局、在ケニア大使館、マラウイ共和国環境・天然資源省、林野庁海外林業協力室などを経て、平成30年10月から森林・気候変動対策の政策アドバイザーとしてコンゴ民主共和国環境省に勤務。アフリカ勤務は3カ国8年目。