松阪 武四郎が描くアイヌ文化 記念館で「蝦夷漫画」展 三重

【松浦武四郎の蝦夷漫画と実物を紹介する山本主任学芸員=松阪市小野江町の松浦武四郎記念館で】

【松阪】松浦武四郎記念館はこのほど、三重県松阪市小野江町の同館で開館25年記念特別展「蝦夷(えぞ)漫画の世界」を始めた。内閣府のアイヌ政策推進交付金交付事業として実施する。会期は3月15日まで。

松浦武四郎(1818―1888年)は北海道の名付け親として知られる同町出身の探検家。蝦夷漫画は武四郎が6度の蝦夷地調査を終えた1859年、アイヌ文化を分かりやすく伝えようと出版した木版多色刷りの縦18センチ、横12センチの小型本。アイヌの生活を描いた絵に説明を添えている。

特別展では漫画に描かれた道具などの実物資料を大阪府吹田市の国立民族学博物館から借り、約60点展示する。蝦夷漫画の復刻に佐々木利和北海道大学特任教授の解説が入ったA4判44ページの冊子を千部作製し、同展入場者にプレゼントする。

竜を刺しゅうした清国の絹製官服を着たアイヌ首長の絵と衣装の実物を前に山本命主任学芸員は、「アイヌはサハリンを経て清国と交易し、黒テンの毛皮やタカの羽根と交換に絹織物や金属製品、ガラス玉を手に入れていた」と背景を話した。

他に、神に祈りをささげるため供える木を削った幣(ぬさ)「イナウ」や、樹皮の繊維から作った糸で織った布「アットゥシ」を出品。冊子では「神道の御幣は紙や絹がなかった大昔にはアイヌ文化のイナウと同様に木を削ってこしらえており、小正月の行事で用いられる削り花はその名残であるとみている」と武四郎の考えを説明している。

講演会を記念館会議室で開き、2月9日は佐々木特任教授の「蝦夷漫画と蝦夷島奇観」、3月8日は齋藤玲子国立民族学博物館准教授の「蝦夷漫画に描かれたアイヌ文化」。いずれも午前10時から。参加無料。

入館料は一般310円、6歳以上18歳以下200円。問い合わせは同館=0598(56)6847=へ。