信綱と新村、半世紀の交流600通 竹柏会心の花 「佐新書簡」を刊行 三重

【このほど刊行した「佐新書簡」の翻字に尽力した北川さん=鈴鹿市役所で】

【鈴鹿】三重県鈴鹿市石薬師町出身の歌人、国文学者の佐佐木信綱(1872―1963)と、山口県出身の言語学者で文学博士の新村出(1876―1967年)の約50年にわたる交流でやりとりした書簡、約600通を紹介する「佐新書簡」がこのほど完成し、信綱が主宰した短歌結社「竹柏会心の花」(東京都)が300部刊行。佐佐木信綱顕彰会会員の市石薬師町、北川英昭さん(87)が、文字を読み取り活字にする翻字作業などに関わった。

信綱と新村の2人は広辞苑の編纂などで交流があり、佐新書簡は明治43年から昭和38年までに交わした約1400通のうち、信綱が新村に宛てた574通、新村から信綱に宛てた25通を紹介。学者としてだけでなく、人間的なやりとりの様子もつづられている。A5判、373ページ。1冊2500円(税別)。

もともと竹柏会会員で門下歌人として信綱と親交があった国語学者の林大さん(1913―2004年)が、書簡を2人の学者の貴重な資料と認識し、「佐新書簡」の出版に向けて平成9年から翻字を始めた。約510通を活字にしたが、平成16年に死去のため作業は中断。

同28年に元高校教師で若い頃から古文書を読んでいたという北川さんが翻字作業を引き継ぎ、約4年かけて残る89通を活字にし、昨年12月2日に短歌雑誌「心の花」創刊120周年記念事業として出版された。

信綱の字は省略が多く翻字作業は大変だったが、前後の文脈から推測したり、林さんの翻字と比較して活字にしたという。

北川さんは「林先生の思いが実現されたことが大変うれしい。新たな書簡も見つかっており、まだ未完成。今後も研究を進め、もっと完璧な本を出したい」と話していた。

佐佐木信綱記念館や市立図書館、県立図書館などで閲覧できる。