津 「夜間中学」の必要性強調 講演会で生徒や映画監督ら 三重

【講演で夜間中学の必要性を訴える森監督=津市羽所町で】

三重県教委は23日夜、不登校などによって中学で十分な教育が受けられなかった人らが通う「夜間中学」をテーマにした講演会を、津市羽所町のアストホールで開いた。夜間中学のドキュメンタリー映画を作った監督と夜間中学に通う生徒が講演。約100人の出席者を前に「学ぶことは生き延びることに結びついている」などと訴え、夜間中学の必要性を強調した。

夜間中学は中学で十分に教育を受けられなかった人らが学び直せる場として、9都府県に33校が設置されているが、県内にはない。文科省は各都道府県に少なくとも1校は設置するよう呼び掛けている。

県教委は夜間中学の必要性を把握するための調査を実施しており、調査結果を踏まえて設置の可否を判断する方針。講演会は、調査への回答に当たって夜間中学について知ってもらおうと初めて実施した。

会場では、夜間中学の様子や生徒の思いを紹介する森康行監督のドキュメンタリー映画「こんばんはⅡ」を上映した後、森監督と大阪府豊中市立第4中の夜間中学に通う伊藤壽勝さん(49)が講演した。

森監督は講演で「文字を書いたり、計算をしたりできず、日常生活が困難な人がいることを推して知るべし」と指摘。「夜間中学は人にとって学びとは何なのかを考えさせられる場だ」と訴えた。

伊藤さんは中学校を休むようになり、卒業後は母を助けるために働いてきた生い立ちを紹介。「30歳になって『何のために生きてきたのか』と思った。履歴書も自分で書けず、悔しかった」と明かした。

夜間中学については「働きながら通うことへの不安はあったが、そんな心配は通い始めて吹き飛んだ」と強調。「学習はもちろんのこと、つらかったことを仲間が優しく聞いてくれた」と語った。

その上で「義務教育を十分に受けられないまま中学を卒業した多くの仲間に、この感動を少しでも早く味わってもらいたい。三重県の皆さん、夜間中学で学びたい人の願いを実現してください」と訴えた。

県教委の調査は中学で十分に教育を受けられなかった16歳以上の人らを対象に2月14日まで実施。通学の希望や理由を尋ねている。回答は県教委小中学校教育課=電話059(224)2963=へ。