「三重の社日信仰の今」出版記念、西田久光氏が津で講演

【三重の社日信仰について話す西田氏=津市一志町の一志農村環境改善センターで】

【津】津市一志町のボランティアガイド団体「一志町歴史語り部の会」は11日、同町の一志農村環境改善センターで歴史講演会を開いた。市観光ボランティアガイド・ネットワーク協議会会長で劇作家の西田久光氏(70)=同市一志町=が「三重の社日信仰の今」と題して、三年半かけて約800カ所を調査し県内全域の社日碑を巡った経緯を語った。

西田氏は同市美杉町の仲山神社で天照皇太神宮や倉稲魂命など五神名を刻んだ天明期の六角石柱を偶然見つけ、中部・近畿では最古、全国でも古い社日碑と知ったことから調査を始めた。

講演では古代中国の祭祀(さいし)を起源に、日本で土の神を祭る社日信仰が広まるきっかけになった京都の民間学者・大江匡弼(ただすけ)の書物をひもとき「近世は天下泰平で氏神の効力がなくなり秩序を再生する新しい神が必要だった。そこに大江の提唱がはまった地域が多くある」と分析した。

県内にある社日碑と「社日さん」の呼称で現在も祭礼を継承する地域を現地調査した事例を紹介し「碑があっても『社日さん』が死語になっている地域がある。民俗信仰の衰退はコミュニティーの衰退。地域で連帯感を持つツールとして名もない神社で行われる祭りに参加することは大事」と強調した。

西田氏の著書の出版記念として開き県内外の約140人が聴講。予定時刻を1時間半超える熱い講演となった。伊藤達雄・三重大名誉教授(87)は「次の世代にどうつなげるか、歴史と民俗を含め文化の大切さを改めて感じた」と感想を述べた。