
決して恵まれた練習環境とは言えない中で、11月の全国高校弓道選抜大会県予選団体戦で男女そろって優勝し、23日開幕の全国大会に臨む。弓道部の主将で女子個人戦にも出場する吉村涼(2年)は「予選を通過し、ベスト8以上を目指したい」と話す。
弓道部の歴史は古いが、数年前まで専門知識を持った指導者がいなかった。校内の弓道場もなくなり、選手らは校外の弓道場を使うか、屋外で練習している。
昨年の春、伊勢学園高校で長年弓道部の指導に当たった太田光則教諭(66)が赴任し、少しずつ状況は好転。県弓道連盟の元強化委員で、少年女子県選抜監督も務めた同教諭から、本格的な指導が受けられるようになった。
今年6月の県高校総体では川北圭介(2年)が男子個人で優勝。団体でも男子が4位、女子が準優勝し、東海高校総体に男女で出場した。全国高校選抜予選では東海総体を経験した2年生らの活躍がアベック優勝につながった。
男子は、好不調の波の少ない川北を軸に2次予選を1位通過。6校総当たりの決勝大会も無敗で終えた。試合を通じて「緊張していた」と明かす川北だが、「落ち」で試合を締めた世古智哉(2年)は「絶対的な安心感がある。リラックスして弓が引けた」と感謝する。
女子は2次予選、決勝大会とも苦しみながら勝ち抜いた。2次予選は2位通過。決勝大会は上位4校が3勝2敗で並ぶ接戦を制した。個人戦覇者の吉村が少し調子を落としていたが、高橋美咲(2年)が弓道を始めて初の皆中を達成するなどして互いをカバーした。
今年8月個人でインターハイに出場した川北は「団体で全国大会に出場できることは心強い」と、夏果たせなかった予選通過を誓う。長い指導者人生で「男女アベックの全国大会は初」と目を細める太田教諭も「県代表としても、まず予選突破」と、奮闘を期待する。