
【松阪】松浦武四郎記念館は6日、三重県松阪市小野江町の同館展示室で企画展「武四郎の古物収集」を始めた。会期は来年1月26日まで。
同所出身の松浦武四郎は幕末明治の探検家で、北海道の名付け親として知られるが、古物収集家としても有名。収集品の図録「撥雲余興」を明治10年に出版し、自宅で毎月1回、研究会「尚古会」を開いている。
同展では6世紀の新羅の「信興王定界碑拓本」、尾形光琳や吉田兼好とされる書画など武四郎が集めた29点を出品している。
珍しい石も集め、雪、月、華の模様が入った北海道や栃木県の黒曜石3個がある。珍しい石があれば送ってほしいと実家にあてた武四郎の手紙を展示している。数百個集めたが、残っているのは展示品だけ。
コレクションを散りばめた「武四郎涅槃(ねはん)図」の実物や、全国の寺社の古材を集めて組み立てた一畳敷、古代のヒスイの勾玉(まがたま)などで作った大首飾りの複製を展示している。
山本命主任学芸員は「廃仏毀釈(きしゃく)の中、保護されるようになったら元の所へ返す、物好きで集めているのではないと武四郎は書いている」「本物かどうか分からないものもあるが、文化財保護、考古学の先駆け」と解説している。
入館料は一般310円、6歳以上18歳以下200円。