三重県が伊勢新聞記事の事前確認を要請「セミナー共催グーグル側の意向で」

【県が開いた働き方改革セミナー=津市栄町1丁目で】

三重県は1日に開いた働き方改革セミナーで、取材に訪れた報道機関に対し、共催者のグーグルによる記事内容の事前確認を受けるよう要請した。県は「セミナーを報道機関に公開するには、グーグル側の意向に応じるしかなかった」などと説明するが、セミナーは公開で一般県民も参加していた。記事の事前送付先が民間と言えども、公的機関が事前確認を申し入れるのは極めて異例。県は本紙の指摘を受けて要請を撤回した。

県によると、セミナーは津市栄町1丁目の勤労者福祉会館で開かれ、県職員や県民ら約100人が参加。グーグル側の担当者が「はじめての働き方改革」と題して講演し、同社の取り組み方などを紹介した。

受け付け担当の県職員が会場入り口で、記者に「記事はグーグルの事前確認を受けるように」と指示。司会を務めた県職員は講演に先立ち、壇上からマイクで「会場に記者がいれば連絡してほしい」と呼び掛けた。

グーグル側の担当者もセミナーの後、記者に記事の事前送付を依頼。「非公開を予定していたが、自社の広報と相談して公開するなら記事の確認を求めることにした」「写真と記事の両方をメールで送ってほしい」などと話した。

セミナーを取材したのは本紙の記者だけだった。県は開催の1週間ほど前にセミナーのプレスリリース(報道機関向け資料)を配布し、当日の取材を呼び掛けていたが、当時は記事の事前確認に関する説明はなかった。

セミナーを担当した県の行財政改革推進課と海外誘客課は「グーグルが非公開の意向だったことを開催当日になって知った。公開の条件として事前確認を求めるグーグルの意向に従うしかなかった」と説明した。

広聴広報課は「記事の内容を事前に確認させる行為は好ましくないことで、申し訳なく思う。今後は同様のことが起こらないよう、県の広報担当者らを集めた会議などを通じて周知したい」としている。

グーグル広報部は取材に「現場で求められたのなら記事を送ってもらう必要がある」と主張。事前確認を求める理由は「担当者が出払っていて答えられない。質問があればメールで送ってほしい」と話した。