自宅放火男性に懲役4年判決 「身勝手で自己中心的」 津地裁 三重

同居する両親らと無理心中を図ろうとして自宅に放火したとして、現住建造物等放火の罪に問われた三重県志摩市阿児町国府、作業所員逵正俊被告(44)の裁判員裁判の判決公判が24日、津地裁であり、田中伸一裁判長は懲役4年(求刑・懲役6年)を言い渡した。

判決理由で田中裁判長は、逵被告が抱える自閉症や軽度の知的障害が犯行に与えた影響について「限定的」と指摘。弁護側は精神疾患などを理由に執行猶予付きの判決を求めていたが「父母に対するストレスなどから安易に犯行に及び、身勝手で自己中心的。同種事案と比べても強い非難に値する」と断じた。

さらに「被告は反省している旨を述べるものの、自らの問題点を十分に自覚していない」と指摘。社会復帰後、グループホームで更正を図る考えについては「具体的な検討が進められておらず、刑の執行を猶予できる事案ではない」と述べた。

判決などによると、逵被告は昨年10月7日深夜から翌8日未明にかけ、両親と祖母が就寝中の自宅で、ガスコンロで点火した雑誌を自室の紙類に差し込み、木造平屋建て家屋約157平方メートルを全焼させた。家族関係のストレスから両親らに不満を抱え、事件の2、3カ月前から犯行を決意。犯行当日、火事のニュースを見て放火に及んだ。両親と祖母は眠っていたが、火事に気付き、逃げて無事だった。
■「何がきっかけで…」 裁判員会見、公判振り返る」■
現住建造物等放火の罪に問われ、津地裁で懲役4年(求刑・懲役6年)が言い渡された逵正俊被告(44)=志摩市阿児町国府=の裁判員裁判。判決後、補充裁判員を含む裁判員5人が会見に応じ、公判を振り返った。

逵被告と同じ自閉症の子を持つ50代の女性は、逵被告が家族に対し、「助かって悔しかった」と語ったことについて「親として悲しく、何がきっかけでこんなことになったのかをすごく考えさせられた」と話した。

女性は、論告公判で被告が「自分は弱い立場で償う能力がない」などと述べたことについて「言って良いことと悪いことの境目がついていないと感じた。本心なのかどうか、理解するのは難しい」と語った。

公判では逵被告が長年抱えていた家族関係のストレスが検察、弁護側の双方から語られた。補充裁判員の女性(72)は「父母への感謝は何もなかったのか。良い時もあったはず」と疑問を呈した。

犯罪への見方が変わったという意見も。別の50代の女性は「身につまされる事件だった。ずっと続くのかは分からないが、障害を持った方の事件に接した時、捉え方が変わっていくと感じた」と語った。