世界一…でも売れなかった 「伊勢角屋麦酒」販売の鈴木社長 本社政経懇話会

【講演する鈴木社長=津市大門で】

伊勢新聞政経懇話会10月例会が11日、三重県津市大門の都シティ津で開かれた。伊勢市のクラフトビール「伊勢角屋麦酒(ビール)」を製造販売する「二軒茶屋餅角屋本店」の鈴木成宗社長(52)が「発酵野郎!伊勢から世界へ」と題して講演した。

鈴木氏は大学卒業後に実家に戻ったものの、業務に飽き、地ビールの規制緩和に注目してクラフトビールの世界に飛び込んだと説明。大学で微生物を研究していたことから「微生物が大好きで、地元の伊勢を自慢してやりたいと思っていた」と述べた。

「創業当時から世界一を目指した」と振り返り「『伊勢』と名の付くものを作る以上、いい加減なものは出せないと思っていた」と強調。審査員資格を取得し、国際大会の審査員を務めることで、世界一に選ばれるビールのイメージをつかんだという。

創業から6年後に国際大会で金賞を受賞し、世界で評価されるように。ところが「世界一になれば売れると思っていたら、全然売れなかった」と明かした。相談した自然食レストラン「ティア」の元岡健二社長から説教され「初めて経営を勉強した」と語った。

経営改革で自社の売上げは伸びている一方、「ビール市場の中でクラフトビールのシェアはわずか1%で、いつなくなってもおかしくない」と指摘。「せめて5%にならないと安定した市場にはならない」と主張し、業界全体の底上げに注力する考えを示した。

鈴木氏は、餅菓子「二軒茶屋餅」を製造する天正3年創業の老舗「二軒茶屋餅角屋本店」の21代目。東北大農学部卒。伊勢角屋麦酒は世界最高峰の品評会で受賞を重ね、ファンからは「イセカド」の愛称で親しまれている。新著に「発酵野郎!」。