三重県議会常任委 キャッシュレス、6年後50% 県が推進方針、都道府県で初 

三重県議会は9日、戦略企画雇用経済、環境生活農林水産、教育警察の各常任委と予算決算常任委の各分科会を開いた。県は戦略企画雇用経済常任委で、キャッシュレスの普及を目指す「キャッシュレス推進方針」の案を示した。現状は20%程度とされる県内のキャッシュレス比率を6年後は50%に引き上げると定めた。一方、事業者の負担や消費者の不安といった〝障壁〟も想定され、対応を進めると明記した。県によると、自治体がキャッシュレスの長期的な方針を策定するのは全国の都道府県で初めて。
〈戦略企画雇用経済=東豊委員長(9人)〉
県のキャッシュレス推進方針は、政府のポイント還元制度でキャッシュレス化の機運が高まっていることを受けて策定。生産性や利便性の向上など、導入のメリットを強調して普及を目指すとしている。

【キャッシュレス】
経産省は6年後のキャッシュレス比率を全国で40%にしたい考えだが、県が方針で掲げた目標は、それを上回る。方針は事業者対象の体験会や専門家の派遣などを通じて導入のメリットを周知し、消費者の不安払拭にも取り組むと定める。

県も方針に基づき、県の博物館や美術館の観覧料などでキャッシュレス導入を検討するほか、県有施設に入る食堂や自動販売機などについても指定管理者に導入を呼び掛ける方針。来年度の自動車税についてもスマートフォンで納入できる専用アプリを導入する。

【条例改正】
県は4月で施行から5年が経過した中小企業・小規模企業振興条例を改正する考えを示した。「ソサエティ5・0」と呼ばれるAI(人工知能)などの新技術が活用される時代への対応を追記する予定。年度内にも条例改正案を提出する。

労働力不足や事業承継といった中小企業を取り巻く課題への対応も盛り込む。全国平均を下回っている大規模災害に備えたBCP(事業継続計画)の策定を向上させる方針も示す。雇用経済部は「社会情勢の変化を踏まえて改正案を策定したい」としている。
〈環境生活農林水産=谷川孝栄委員長(8人)〉
地方卸売市場の開設を県による許可制から認定制に移行する「県卸売市場条例案」など2議案を可決すべきとした。県卸売市場条例案は全会一致で可決すべきとしたものの、一部の委員が「県の責任を明確にしてほしい」と注文を付けた。

【地方卸売市場】
卸売市場の民間参入を認める改正卸売市場法に合わせ、県卸売市場条例全てを改正する。農林水産物の流通競争や効率化を促すため。委員からは食品の安定供給を懸念する声が上がった。

三谷哲央委員(新政みえ、7期、桑名市・桑名郡)は「地方卸売市場は消費生活と密接な関係があり、流通を維持しなければ混乱が起きる。認定制に移行したときに県の責任や役割はどこにあるのか」と尋ねた。

県の担当者は「認定制に移行して全く自由になるというわけではない。認定を受けた事業者に対し、従前通り県や国が指導・監督する」と説明した。

【水産業振興】
県は県水産業・漁村振興条例の中間案を示した。同様の条例は北海道と静岡、宮城両県ですでにあり、施行されれば4道県目。真珠養殖をはじめとする養殖業の振興を項目に盛り込んだ部分が特徴という。

県漁連など24団体の意見などを基に策定。中間案に対するパブリックコメント(意見公募)を実施し、県水産業・漁村振興懇話会で有識者や漁業者から意見を聞く。12月の常任委で条例の最終案を報告する。
〈教育警察=田中智也委員長(8人)〉
県警は大阪府吹田市などで起きた交番襲撃事件を受け、県内の交番や駐在所に防犯カメラを設置し、防犯機能を強化させる考えを示した。

【防犯機能の強化】
平畑武委員(新政みえ、1期、鈴鹿市)の質問に対し、宮関真由美警務部長は本年度予算に交番などへの防犯カメラの設置を予算計上していると答えた。

また、県警が津波の浸水域にある施設などの建て替えを進めている件で津村衛委員(新政みえ、4期、尾鷲市・北牟婁郡)は、建て替えが必要な交番・駐在所の数を質問。村田亨輔地域部長は県内の交番・駐在所の数を約200と説明し、うち120件で建て替えが必要と述べた。

【犯罪情勢】
今井智広委員(公明党、4期、津市)は薬物事犯で摘発された若い年齢層の人数を質問した。水谷昭裕刑事部長は8月末現在、10代が4人、20代が11人、30代が23人と説明。内訳では30代が全ての年代で最も多かったという。

今井委員は「若い人間の周りに薬物の危険があることを周知徹底してもらい、若者が引っ張られないよう啓発活動に力を入れてほしい」と求めた。