三重県議会・一般質問 300カ所で経口ワクチン 豚コレラ対策、イノシシ向け

三重県議会9月定例月会議は2日、本会議を再開し、中瀬古初美(新政みえ、2期、松阪市選出)、石垣智矢(自民党県議団、一1、いなべ市・員弁郡)、杉本熊野(新政みえ、4期、津市)、中村進一(新政みえ、7期、伊勢市)の4議員が一般質問した。県は豚コレラ対策の野生イノシシ向け経口ワクチンについて、来年1―2月に散布を予定している冬季の散布分は、今夏の約1・5倍となる300カ所を対象とする方針を示した。今夏と同じ北勢の6市町で実施する予定。石垣議員の質問に対し、前田茂樹農林水産部長が答えた。

 

■停電対策で樹木伐採を ― 中瀬古 初美議員(新政みえ)
中瀬古議員は台風15号で発生した千葉県の大規模停電を踏まえ、対策として電線沿いでの計画的な伐採を提案。県は年度内に市町や電力事業者と協定を結び、来年度から伐採を進める考えを示した。

【水道料金】
中瀬古議員 県営水道に対し、各方面が料金の引き下げを強く求めている。うち南勢志摩水道の供給を受ける松阪市の水道事業は厳しさを増している状況。料金を引き下げるべき。

山神企業庁長 令和2年度に向けて水道料金の見直しを進めているが、引き下げは困難な状況。本年度から令和8年度までに総額で約371億円の耐震化や老朽化対策を計画している。各市町から再三にわたって引き下げの要望を受けている。双方の水道事業を取り巻く厳しい情勢への共通認識を醸成したい。

【大規模停電】
中瀬古議員 台風15号によって千葉県で発生した大規模停電の大きな理由は倒木と言われている。暴風雨によって断線させる恐れのある樹木の伐採について、どう考えるか。

前田農林水産部長 17市町が「みえ森と緑の県民税」を活用して人家裏などの危険な木を伐採しているが、今回の台風を勘案し、電線沿いも計画に位置付けたい。年度内に県と市町、電力事業者による三者協定を締結し、大規模な停電を未然に防ぐ伐採を来年度から計画的に実施できるよう調整を進める。

 

■早急にイノシシ捕獲を ― 石垣 智矢議員(自民党県議団)
豚コレラ対策で、主な感染経路である野生イノシシを早急に捕獲するよう求めた。県は猟友会の負担を軽減するため、ICT(情報通信技術)を活用したわななどで捕獲力を強化する考えを示した。

【豚コレラ対策】
石垣議員 野生イノシシの対策は急務。経口ワクチンの効果の検証などには野生イノシシのサンプルは2千頭必要とされる。イノシシの捕獲は果たしてスピード感を持って進められているのか。

前田農林水産部長 野生イノシシの捕獲は昨年の実績を考慮して2千頭と設定している。9月30日までの実績は387頭で、順調に捕獲が進んでいる。今後、設置したわなの見回り時間を短縮できるICTわななどを活用する。冬季には経口ワクチンの散布箇所を増やし、野生イノシシの抗体付与率を高める。

【若者世代】
石垣議員 他県には、将来に向けて未来の主役である若者にアイデアを出してもらう取り組みなどがある。三重県も今後の施策展開で、若者が主体となって活躍できる視点を持つことが重要ではないか。

鈴木知事 持続可能な地域社会の発展という観点に立てば、若者が主体となった地域づくりを促進していくことは非常に大切な視点となる。各施策を展開する中で、市町とも連携しながら地域の若者に主体的に施策に関わってもらえるよう取り組みたい。

 

■農福連携、どう推進 ― 杉本 熊野議員(新政みえ)
杉本議員は、県が進めてきた農福連携の成果を評価し、推進に向けた取り組みを尋ねた。鈴木知事は、農業に参入する人らを障害者だけでなく、引きこもり状態にある若者などにも広げる考えを示した。

【農福連携】
杉本議員 県が農福連携に取り組んで8年が経過するが、県内では18農業経営体が障害者を雇用するようになった。農福連携の可能性をどう考え、推進するか。

知事 農業に参入した事業所の多くで障害者の体力やコミュニケーション力が向上した。工賃も福祉事業所全体の平均より高くなった。農福連携の認知度向上や就労を受け入れる分野の拡大に取り組む。引きこもり状態にある若者など、働きづらさや生きづらさを感じる人らが社会復帰するための活用も進める。

【木造校舎】
杉本議員 鉄筋コンクリート造の学校は殺風景。木造の校舎に出会うと、うれしくなる。県の指針は公共建築物を原則として木造と定めているが、どう進めるか。

廣田教育長 木造は鉄筋コンクリートより心理や情緒の面で優れ、内装に木質の部分が多いほどストレスの訴えが低く、学級の印象が良いとのデータがある。子どもが心身共に成長する学校環境の質を高める効果がある。今後も県立学校での利用を図り、小中学校についても市町への情報提供などで支援したい。

 

■「種子条例」の中身は ― 中村 進一議員(新政みえ)
廃止された主要農作物種子法(種子法)の代わりとなる「種子条例」の制定に向けたスケジュールを尋ねた。県は年内に条例の骨子案を取りまとめ、パブリックコメント(意見公募)を経て3月に最終案を示す考えを明らかにした。

【種子条例】
中村議員 鈴木知事が9月26日の本会議で種子条例を制定する考えを表明した。具体的にどのような中身を考えているのか。三重県らしさを入れることも考えているのか。

前田農林水産部長 優良種子の生産と安定供給を図るため、県の役割を規定する。生産者や関係団体などが連携して採種事業に取り組んでいくための条例にする。民間のニーズに合わせた品種開発に取り組むことも規定したい。在来種の活用のために県の技術的なサポートも盛り込む。

【伊勢湾】
中村議員 海の生物は環境の変化に左右される。確かに海はきれいになってきたが、安心して暮らせる豊かな環境になっているかは疑問。豊かな伊勢湾の再生に向けてどのような対策を取っているのか。

知事 伊勢湾で窒素・りんの平均濃度に大きな変動はない。環境基準もほぼ達成しているものの、ノリの色落ちや、コウナゴとアサリの不漁などが起こっている。漁場での栄養塩不足のほか高水温化などさまざまな要因が考えられる。知見集積のための調査研究を進め、総合的に取り組む。

 

<記者席>初登板の33歳「私も若者」
○…松阪木綿の着物姿で臨んだ中瀬古議員。前回の質問で小林議員の伊勢木綿を紹介して「木綿対決」と書いた本紙を念頭に「松阪木綿も伊勢木綿も垣根なくやりたい」とまとめた。

○…一方、企業庁に水道料金の引き下げを拒まれると「到底、受け入れられない」「行政の言い分にすぎない」などと不満げ。こちらの〝対決〟は勝ちに持ち込みたかったようだ。

○…初登板の石垣議員は33歳。現役の県議では最年少だが、県の人口減対策が「若者」を15―29歳までと定義していることに疑問を持ったようで「私も若者」と主張した。

○…その上で「40代の知事も絶対に若者だと言われるはず」と強調したが、はにかんだ鈴木知事も全国最年少知事だったのは過去の話。年齢が絡む言葉は定義付けが難しい。