三重県議会一般質問 ワクチン、全頭対象計画 県、豚コレラ対策で

三重県議会9月定例月会議は30日、本会議を再開し、中瀬信之(新政みえ、1期、度会郡選出)、前野和美(自民党県議団、5期、津市)、田中智也(新政みえ、3期、四日市市)、小林貴虎(自民党県議団、1期、津市)の4議員が一般質問した。県は豚コレラ対策で実施する豚へのワクチン接種について、県内で飼養する全ての豚を対象とする方向で計画を策定することを明らかにした。国の指針改定案では対象地域を限ることも可能だが、接種しても精肉の流通は制限されないことや県全体での危機感の高まりを踏まえて全頭を対象とした。一方、県は「現段階で全頭への接種を決めたわけではない。農家の声を十分に聞いて計画を策定する」としている。

 

■ワクチン接種の必要期間は ― 中瀬 信之議員(新政みえ)
中瀬議員は、豚コレラのワクチン接種に要する期間を尋ねた。県は家畜保健衛生所などの獣医師らを「フル投入」した場合でも2―3週間を要するとの想定を示した上で「できるだけ早く完了させる」と答えた。

【食育】
中瀬議員 健全な食生活を実現を目指す「食育推進計画」の策定が県内の市町でなかなか進んでいない。県内で策定している市町は17にとどまっているが、なぜか。

前田農林水産部長 計画を策定していない市町からは「策定の効果を理解しにくい」「どう着手して良いか分からない」との声があり、県は策定の効果や優良事例を紹介してきた。平成29年度は鈴鹿市と菰野町、30年度は度会町と大紀町が策定した。本年度は2市町が新たに策定を予定している。

【豚コレラ】
中瀬議員 国はワクチン接種に向けた方針を示したが、県もすべきことはたくさんある。獣医師も限られる中、どのような体制で接種するのか。必要な日数も含め、今後の見通しは。

前田部長 県内では10万4千頭の豚が飼育され、これら全てにワクチンを接種する計画の策定に取り組み始めている。県家畜保健衛生所などの獣医師ら55人をフル投入した場合、接種の完了に2―3週間が必要と見込んでいる。接種が可能となった段階で速やかに開始し、短期間で完了できるよう準備を進める。

 

■健康づくり取り組みは ― 前野 和美議員(自民党県議団)
人生百年時代に向けた健康づくりの取り組みを尋ねた。鈴木知事は「SDGs(持続可能な開発目標)」や「ソサエティー5・0(超スマート社会)」などの新しい考え方を取り入れる方針を示した。

【健康づくり】
前野議員 人生百年時代の課題は健康寿命を延ばすこと。主体的な健康づくりだけでなく、企業による健康管理も重要と考える。今後の健康づくりの取り組みは。

知事 県民の死因の第1位であるがんの死亡率の低減や糖尿病などの生活習慣病対策、健康づくりに取り組める環境作りなど解決すべき課題が多くある。新しい考え方を取り入れ、データやテクノロジーを活用した取り組みにチャレンジする。企業が健康経営を行うインセンティブになるような取り組みも検討する。

【児童虐待防止】
前野議員 全国では痛ましい虐待のニュースが後を絶たない。適切な一時保護や関係機関との連携の必要性が指摘されているが、児童虐待防止条例の改正案はどのような内容にするつもりか。

大橋子ども・福祉部長 条例改正に当たっては、適切な一時保護や関係機関との連携、情報共有などこれまでの取り組み成果を踏まえ、子どもの安全確保の方針をより強く表していきたいと考えている。改正を機に、子どもや子育て家庭に寄り添ったより一層の支援ができるよう検討する。

 

■消防本部広域化の課題は ― 田中 智也議員(新政みえ)
国や県が推進する消防本部の広域化について課題を尋ねた。県当局は、大規模本部と小規模本部それぞれに広域化への懸念があるため、計画が進展していないと説明した。

【消防組織】
田中議員 県内の消防本部を広域化する推進計画を3月に策定したが、消防本部を合併や統合するに当たって、難しい部分もあるのではないか。消防の広域化の課題をどのように認識しているか。

日沖防災対策部長 大規模本部では消防力の流出を、小規模本部では周辺地域となることによる消防力の低下や負担金の増加を懸念している。全国的にも進展が見られず、県も同様の状況。勉強会の参加や消防本部間の連絡調整など広域化への道筋をつける取り組みを進める。

【スポーツ選手育成】
田中議員 女性アスリートを育成する「MIEスーパー☆(スター)プロジェクト」で、ラグビーは非常に良い成果が上がっていると思う。競技種目を広げてはどうか。

辻国体・全国障害者スポーツ大会局長 早ければ小学校高学年に特定の競技で選手を目指さないかと声を掛けることになる。県としてはしっかりと受け入れ環境を用意することが必要。種目の拡大には、進学後も競技団体が責任を持ってサポートすることが課題となる。一つでも大きな成果を生み出すことで、競技団体に受け入れ環境の整備を検討してもらえるようにしたい。

 

■拉致アニメ活用不十分 ― 小林 貴虎議員(自民党県議団)
小林議員は、政府が学校での活用を求める拉致問題のアニメが県内で十分に活用されていないと指摘。廣田教育長は、平成30年度に県内でアニメを活用した公立学校が53校にとどまったと明らかにした。

【少人数指導】
小林議員 過去に多くの議員が「少人数指導を実践していない学校の方が算数の結果が良かった」と指摘し、県教委は「検証方法を研究する」と答えたが、その後どうなったのか。

廣田教育長 適切な人数を研究してきたが、学年によって結果がバラバラで指導の内容で違いも生じたため、一概に言える結果には至らなかった。各県にも聞き取ったが、検証は非常に困難だということが分かった。海外の文献も見たが、いろんな論議があった。子どもたちの学力が上がるよう、今後も研究したい。

【拉致問題】
小林議員 政府が平成20年に「めぐみ」というドキュメンタリーアニメを作り、全国の各学校にDVDを配布したが、利用が進んでいない。どう改善するのか。

廣田教育長 30年度にアニメを視聴した県内の公立学校は53校、拉致問題に関する学習に取り組んだのは86校だった。国の方針を受けて各学校にアニメの活用促進を通知している。アニメの視聴を前提とした人権学習指導要領も各学校に配布している。引き続き各学校でアニメが活用されるよう取り組む。

 

<記者席>「分からない」横文字連発
○…前野議員は敬老会のあいさつで「ソサエティー5・0」を取り上げ、参加者に「皆目分からない」と言われたと紹介。「本人も分かっていなかった」と打ち明け、笑いを誘った。

○…そんな前野議員を尻目に、知事は無情にも「SDGs」や「ナッジ理論」などの横文字を連発。前野議員は「聞き慣れない言葉が飛び交い、非常に苦労している」と困惑し、敬老会のネタフリも知事に届かず。

○…初登板の小林議員は伊勢木綿の着物姿。決まって松阪木綿を着込んで質問に立つ松阪市選出の議員らを横目に「松阪の人らはPRに余念がない。素晴らしい」と評価した。

○…一方で「今に始まったことではない。昔っから松阪の商人は巧み」との指摘も。2日の質問は中瀬古議員が松阪木綿の着物姿で臨むらしい。「木綿対決」の結果やいかに。