荒神堂再建「日本人の心今も」 熊野古道世界遺産15周年 尾鷲でシンポ 三重

【紀伊山地の霊場と参詣道はなぜ最も世界遺産らしいかを語り合ったパネルディスカッション=尾鷲市瀬木山町の市民文化会館で】

【尾鷲】三重県尾鷲市瀬木山町の市民文化会館で29日、「世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』と磐座(いわくら)信仰シンポジウム」(尾鷲市主催、伊勢新聞社後援)が開かれた。熊野古道やその周辺の聖地についての講演やパネルディスカッションがあり、約700人が耳を傾けた。

シンポジウムは、熊野古道伊勢路が今年7月で世界遺産登録15周年を迎えたことを記念して開催した。

金峯山寺の五條良知管長は記念講話で、熊野古道・八鬼山山頂付近にある荒神堂を市民らが再建したことについて「日本人が持つ人々、神、仏を大事にしたいという心が今も残っていることはありがたいと思った」と述べた。

「紀伊山地の霊場と参詣道はなぜ最も世界遺産らしいのか」と題したパネルディスカッションには、金峯山寺の田中利典長臈(りてんちょうろう)、熊野本宮大社の九鬼家隆宮司、高野山大の村上保壽(ほうじゅ)名誉教授、熊野古道のエコツアーを企画する「くまの体験企画」代表の内山裕紀子さんが登壇した。宗教人類学者の植島啓司さんがコーディネーターを務めた。

村上名誉教授は「紀伊山地では宗教の違いや文化的な違いで争うことがないが、明確な個性がある。その不思議さが外国の人たちを引きつけるのでは」と述べた。

田中長臈は「道は平和でないと道でなくなる。紀伊山地の霊場と参詣道は、日本という国が持ってきた平和を愛するかたちが具現化して道であり続けた」と述べた。