三重県が「種子条例」制定へ 法律廃止受け 供給安定で農家安心

三重県議会9月定例月会議は26日、本会議を再開し、青木謙順(自民党県議団、5期、津市選出)、倉本崇弘(草莽、2期、桑名市・桑名郡)、中川正美(自民党、10期、伊勢市)、今井智広(公明党、4期、津市)、稲森稔尚(草の根運動いが、2期、伊賀市)の5議員が一般質問した。種子の生産や安定供給を都道府県に義務付ける主要農作物種子法(種子法)が廃止されたことを受け、県は種子法の代わりとなる条例を制定すると表明した。来年6月に条例案を提出する方針。青木議員の質問に、鈴木英敬知事が答弁した。

 

■法律廃止に不安の声 ― 青木 謙順議員(自民党県議団)
青木議員は、県内でも種子条例の制定を求める声が上がっていると指摘。鈴木知事は「種子法廃止後も種子の安定供給は確保している」としつつ、農業団体の要望を受けて制定を決めたと説明した。

【種子条例】
青木議員 種子法の廃止による不安や県条例の制定を求める声がある。主要農作物の安定供給に向け、県は農家が安心できる姿勢を示すことが大事。種子条例の制定をどう考えるか。

知事 県は種子法の廃止後も切れ目なく要綱を策定し、種子の安定供給を図ってきた。8月の検討会で「条例化を検討しては」との意見があり、県内農業団体との意見交換会では制定を熱望された。こうした多くの声を受け止め、種子生産への不安を払拭して関係者が採種事業を支える条例が必要と判断した。

【国体】
青木議員 2年後の三重とこわか国体・とこわか大会は、まだまだ知られていないのが実情。盛り上げの意識は全庁に浸透しているか。庁外の団体と連携して盛り上げる必要もある。

辻国体・全国障害者スポーツ大会局長 ウェブサイトやSNSによる情報発信やスポーツイベントでの宣伝、ダンスキャラバンなどで両大会を広報している。市町とも連携し、祭りやスポーツ大会でもPRしてきた。庁内での連携はもちろんのこと、民間との連携でも効果的にPRできる取り組みを検討したい。

 

■IRには慎重対応を ― 倉本 崇弘議員(草莽)
桑名市がカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致について調査研究を求める要望書を県に提出したことを受け、県に慎重な対応を求めた。鈴木知事は「誘致ありきではなく、慎重に研究していくことが前提と考えている」と述べた。

【IR】
倉本議員 IR誘致の研究は、依存症のリスクなどの情報を調査する程度にとどめるべきで、特定の地域に限定して調査すべきではない。慎重な判断と地域の合意形成が必要。現在のIR誘致の県の考え方は。

知事 県商工会議所連合会や桑名市からの要望は、IRの誘致ありきではなく、あらゆるプロジェクトの可能性を探るという趣旨で要望されたと受け止めている。県としては、さまざまな観点から中長期的な視点で研究する。治安や依存症の増加など社会的懸念などに対する県民の不安もある。研究の仕方についてはこれから検討したい。

【通学路】
倉本議員 5月に大津市の交差点で自動車事故があり、保育園児ら16人が死傷した。県は事故後に独自調査を進めていたが、調査結果を受けた対策は。

渡辺県土整備部長 保育所などから危険箇所として報告のあった箇所で、一日当たりの交通量が1万台以上の県管理道路にある交差点、137箇所を最優先として、緊急安全点検を実施した。今月中には全ての点検が完了する見込み。点検結果を踏まえて速やかに対策を実施する。

 

■豚にワクチン、対応は ― 中川 正美議員(自民党)
中川議員は、農水省が豚コレラ対策で豚へのワクチン接種を実施する方針を表明したことを受けた対応を尋ねた。鈴木知事は接種の円滑な実施に向け、準備を進める考えを示した。

【豚コレラ】
中川議員 豚コレラに収束のめどが立たず、農水省は予防的ワクチン接種の実施に向けて指針を見直す考えを示した。農家からは「後手後手だった」などの不満と共に安堵の声も聞く。円滑な接種に向けて、県はどう取り組むのか。

知事 農水省のワクチン接種に向けた指針の見直し表明は決して早くはなかったが、接種を強く要望してきた畜産関係者にとっては新たな一歩で評価したいと思う。接種が可能となれば即座に対応できるよう、資機材の確保や接種体制の整備、関係者間の情報共有など、さまざまな準備を加速させる。

【地域通訳案内士】
中川議員 県を観光で訪れた外国人旅行者の満足度を向上させるための取り組みとして、地域通訳案内士制度を導入すべきだと思うが、県の考えは。

河口観光局長 通訳案内士法が改正され、誰でも報酬を得て通訳案内業務ができるようになった。県としては、まず国の試験に合格して高度な語学力や案内の知識を有する全国通訳案内士の活用を促進したいと考えている。地域通訳案内士制度は、導入している自治体の活用状況や課題を調査するなどして対応を検討したい。

 

■高度救命施設設置を ― 今井 智広議員(公明党)
全身やけどなど県内の救命救急センターでは対応できない重篤な患者を受け入れる「高度救命救急医療センター」を県内に設置するよう要望。県は来年度、医師や看護師らでつくる審議会の意見を踏まえて検討する方針を示した。

【救命救急】
今井議員 高度救命救急センターの指定を受けた病院が県内にはない。三重大付属病院はほぼ基準を満たしている。県民がいざというときにしっかりと治療を受けられるように設置を検討してほしい。

福井医療保健部長 広範囲にやけどを負った患者は、愛知県にドクターヘリで転院搬送して対応している状況。県内で対応できる体制を整備する必要がある。広範にやけどを負った患者への対応について三重大付属病院と検討した上で、来年度に県医療審議会救急医療部会の意見を聞きながら検討を進める。

【不妊相談】
今井議員 平成30年から不妊専門相談センターの時間が午前10時から午後4時までに縮小され、終了が4時間早くなった。その結果、相談件数が減った。相談しやすい環境を作るため、時間を延ばす努力を。

大橋子ども・福祉部長 センターについては、より多くの相談者に活用してもらうため、秋には相談時間を延長できるよう相談員の増員などの準備を進めている。不妊治療を受ける人への経済的支援を行うとともに、専門的な相談体制を充実させる。

 

■連携協定把握へ窓口 ― 稲森 稔尚議員(草の根運動いが)
稲森議員は、県と民間が結ぶ包括連携協定を庁内で一元的に把握したり、締結を求める民間に対応したりするためのワンストップ窓口の設置を提案。県当局は「参考になる提案」とし、検討する考えを示した。

【窓口設置】
稲森議員 県と企業の包括連携協定は、締結後の展開が見えづらい。結びたい企業にとって、連携の間口は広いのかどうかも心配。茨城県などではワンストップの公民連携窓口を設置しているが、検討しては。

福永戦略企画部長 全庁で50を超える包括連携協定を締結しており、協定の項目は担当部局で責任を持って実施している。窓口設置の提案は、大変参考になる。窓口から担当につなぐという形も含め、企業や大学にとって連携の相談がしやすい形を検討したい。

【ヘイトスピーチ】
稲森議員 ヘイトスピーチ解消法の施行から3年を迎えたが、日韓関係の悪化は多文化共生を目指す県づくりに悪影響を及ぼさないか心配。昨今の情勢を踏まえた知事の所見は。

知事 県が委託するインターネット上のモニタリングでは、日韓関係の悪化などにより、差別的な書き込みが平成29―30年度にかけて倍増した。令和元年度も増加傾向にある。特定の国籍の人々などを誹謗中傷し、排斥するような差別的言動は決してあってはならない。多文化共生社会づくりの指針に、国籍や文化的背景の異なる住民が地域社会を一緒に築くことを盛り込む。

 

<記者席 ― 小学生が見ている>
○…中川議員は質問項目を詰め込みすぎたようで、用意した原稿を猛スピードで読み上げた。議員の持ち時間を気遣ってか、部長らも原稿を直視しながら早口で答弁した。

○…そのさなか、社会見学の小学生ら50人ほどが議場に入り、傍聴席で「読み上げ合戦」を見守った。どの子もぽかんとした様子だったが、社会見学の感想に何を書くだろうか。

○…一方、今井議員は小学生らに配慮して「なるべく分かりやすい言葉で質問したい」と意気込んだ。今井議員の言葉で小学生に見られていることに意識がいったのか、かえって議場に緊張感が漂うことに。

○…答弁に立った村上雇用経済部長はときどき言葉に詰まり「すみません」と述べるなど絶不調。小学生が退席した後に出番が回ってきた大橋子ども・福祉部長は安堵(あんど)した様子で答弁に臨んでいた。