三重県知事「今までにない事例」 アコヤガイ大量死で志摩視察

【山際会長(左)からアコヤガイの被害状況について説明を聞く鈴木知事=志摩市大王町船越で】

三重県志摩市の英虞湾などでアコヤガイが大量死している問題で、鈴木英敬知事は23日、志摩市大王町船越の船越真珠養殖漁業協同組合で被害状況を確認し、真珠養殖業者と意見交換した。業者からは、県の外郭団体「県水産振興事業団」による複数種の稚貝生産や水産研究所の体制強化を求める声が上がった。

県内の真珠養殖業者らでつくる県真珠養殖連絡協議会の山際定会長(66)らが18日に大量死の原因究明などを求める要望書を鈴木知事に提出した際、現地の視察を打診。その場で鈴木知事が快諾し、実現した。

鈴木知事は漁協前の桟橋で、英虞湾の海上で育てられたアコヤガイの生育状況を視察。山際会長から説明を受けながら、生育年齢別に症状がみられる貝と回復基調の貝を比較して被害状況を確認した。

視察後、真珠漁協の代表者らと意見交換。業者からは県水産振興事業団が供給する稚貝について、リスクの軽減や業者の選択肢を増やす観点から「最低でも稚貝を2種類以上育ててほしい」という要望が出た。

また、県水産研究所で専門の職員が1人、他と兼務の職員が1人という現在の体制は不十分として「水産研究所に力を入れてほしい」「長期的な視点で専門家の育成に取り組んでほしい」という声も上がった。

鈴木知事は要望を受け「緊張感を持って皆さんの思いに寄り添ってやっていく。稚貝の複数種類の育成を検討する」と回答。県水産研究所の体制については「スピード感を持って結論を出したい」と述べた。

視察を終えて、鈴木知事は取材に「実際の貝を見ることでへい死の状況や回復状況が分かった。今回が今までにない事例だと改めて実感できた」と述べ、原因究明や経営支援に全力を尽くす考えを示した。