アコヤガイ大量死 海水温上昇が原因か 三重県水産研究所

三重県志摩市の英虞湾などでアコヤガイが大量死した問題で、県は13日、昨冬の海水温が例年に比べて高かったことが大量死の原因だと考えられるとの分析結果を発表した。湾内の海水温が上がって貝の〝食欲〟が増す一方、エサとなる植物プランクトンが少なく、貝の栄養が不足していた可能性がある。県は養殖業者らに提供している海水温などの情報を充実させるなどして対応する方針。

県水産研究所などは8月下旬、県内の真珠養殖業者を対象に飼育の状況などを尋ねるアンケート調査を実施。この結果に、湾内の海水温やプランクトン量などのデータを交えて原因を分析した。

分析結果では、冬場に温かい漁場へ移す「避寒」の時期から始めた貝ほど、死んだ割合が高かったことが判明。避寒が昨年11月以前と同年12月以降の貝では、死んだ割合に約2倍の差があった。

一方、湾内の海水温は昨冬の平均が15・8度と、過去15年間で最も高かった。貝は冬場でも海水温が高ければ多くの栄養を消費するため、今春にプランクトンを多く取る必要があったとみられる。

ただ、湾内では春先のプランクトンは過去15年で3番目に少なかった。網製のかごに比べてプランクトンの流れが少ないプラスチック製のかごで養殖した貝の方が死んだ割合が高かったという。

一方、7月下旬には湾内の一部で泥が巻き上がり、海水が一時的に濁ったことも判明。多くの泥が付着した貝が呼吸困難などで死に至ったり、外套膜が萎縮したりした可能性も考えられるという。

県は今春のプランクトンが例年より少なかった理由について「現段階では特定できていない」と説明。英虞湾と同じく貝が大量死した愛媛県でも昨冬の海水温が高く、プランクトンも少ない状況だったという。

一方、県は「海水温やエサの量だけが大量死の原因だったとは言い切れない」として、感染の有無や感染源を調べる遺伝子検査などを予定通り実施する。検査結果は10月末にも判明する見通し。

県は今回の分析結果を受け、養殖業者への情報提供を強化する方針。海水温を測定するブイを湾内に設置し、リアルタイムに確認できるシステムを整備するほか、海水温の予測も検討しているという。

鈴木英敬知事は13日のぶら下がり会見で、分析結果について「完全ではないが、論点は狭まってきた。情報提供や技術支援が極めて重要だという教訓になった。あとは感染の関係も調べる」と述べた。