三重県が大雨で災害対策本部 知事、迅速な情報把握指示

【本部員会議で気象台の説明を聞く県幹部ら=三重県庁で】

三重県は5日午後、大雨に伴って設置した災害対策本部の本部員会議を県庁で開いた。鈴木英敬知事は「今後も予断を許さない状況」と述べ、情報の迅速な把握と提供に努めるよう職員らに指示した。

鈴木知事は「亡くなった一人の方にお悔やみ申し上げ、けがや浸水などの被害を受けた方にお見舞い申し上げる」「県民が一刻も早く日常生活に戻れるよう、速やかに対策を講じてほしい」と述べた。

その上で「現在も大雨警報の出ている地域があり、予断を許さない」と指摘。「関係機関と連絡を密に取って的確かつ迅速に情報を収集し、緊張感を持って被害の拡大防止に全力を注いでほしい」と指示した。

また、山神秀次企業庁長はRDF発電所(桑名市)の制御装置に落雷が原因とみられる不具合が発生し、一時的に発電を停止したと報告。灰を排出するコンベヤーも水の侵入で不具合があったと明らかにした。

鈴木知事は静岡県浜松市で開かれた東海3県2市知事市長会議に出席する予定だったが、災害対応を理由に急きょ欠席。県は伊勢市内で予定していたAIスピーカーを使った防災訓練を中止した。

■「予想以上」十分に警戒できず■
県北部で浸水などの被害をもたらし、いなべ市では犠牲者も出た今回の豪雨。記録的な大雨が観測される地域もあったが、県や気象台は大雨が降る前から十分に警戒を呼び掛けることはできなかった。

気象台は大規模な災害が予想される場合に緊急の記者会見を開いて警戒を呼び掛けているが、今回は開かれず。県のホームページやツイッターも、4日夜は注意報や警報などの情報提供にとどまっていた。

「これほどの予想はしていなかった」。県が5日午後に開いた災害対策本部の会議。津地方気象台の山城幸浩次長は大雨が発生したメカニズムなどを県幹部らに説明した上で、そう振り返った。

今回の雨は伊勢湾から前線に吹く風と鈴鹿山脈から伊勢湾に吹く風がぶつかって引き起こされたが、そもそも4日夕に県北部で降った「予想以上の雨」が鈴鹿山脈からの風を強め、雨雲を発達させたという。

気象台は、さまざまな気象データをスーパーコンピューターで解析し、降雨量などを予想しているというが、山城次長は「気圧のスケールが大きい台風などに比べ、局地的な雨は予想が難しい」と話す。

情報提供のあり方でも課題が露呈した。いなべ市内で男性が死亡した事案は午前中から報道各社が伝えていたが、県が午後に開いた災害対策会議で配布した資料は、人的被害の覧に「なし」と記載していた。

県の担当幹部は、この事案を「口頭」で報告した上で「検視が済み次第、県警が発表する」と述べたが、既に県警は事案を発表していた。

災害対策本部は「必要な人員は確保している」と説明するが、ある職員は情報収集を目的に派遣する「リエゾン」の職員は東員町への一人だけだったと明かした上で「今回の雨には不意を突かれた」と語った。