三重大生ら海岸見守り 志摩でボランティア 事故や急病に迅速対応

【海岸で救護所を設置して見守り活動に当たる代表の椋野さん(右端)=志摩市阿児町の阿児の松原海水浴場で】

【志摩】海岸での事故や急病への迅速な措置につなげようと、学生ボランティア団体「BlueSea(ブルーシー)」が、三重県志摩市阿児町甲賀の阿児の松原海水浴場を主舞台に奮闘を続けている。代表を務める三重大医学部3年の椋野拓さん(23)は「ここに学生がいるという価値観を定着させたい」と意気込んでいる。

同団体は志摩市民病院の江角悠太院長(37)の呼びかけをきっかけに3年前に設立。一度は途絶えたが昨年から活動を再開し、現在は三重大学を中心とする約30人ほどの学生が、海岸に設置した救護所を拠点に7月下旬から8月末までの間、見守り活動を続けている。

学生たちは交代で監視台付近の海岸に設置した救護所のテントを拠点に見守り活動を実施。監視員や周辺駐車場の管理人らと連携を取りながら海岸一帯約3キロを見回りし、けが人や体調不良を訴える人を発見すると、江角院長に連絡。血圧や脈拍など「バイタルサイン」や所見を確認して江角院長に指示を仰ぎ、必要な場合は適切な医療機関での診察など助言を伝える。

同海岸では地元漁協の組合員が監視員を兼務しているが人員不足が課題で、3年前には死亡事故も発生している。また訪れる人々からけがや体調不良を訴えられても、即時対応できる専門知識を持つ人間がいないために不必要な救急要請につながり、志摩市内での救急車待機台数がゼロとなる事態にも発展したため、対応を求められていた。

学生らを通じた昨年の対応件数は約40件ほど。救急車の搬送台数は一昨年の7件から2件へと減少したという。江角院長は「活動を続けることで地域のためになるのは明白。地方創成につながる一つの方法論となれば」と期待を込める。

代表の椋野さんは昨年から参加し、今年は7月下旬から泊まり込みでほぼ毎日海岸に出ている。「自分にとっても目の前で対処を考える実地体験につながる」とし、「昨年に続けて今年も来れば信頼をもらえる。地元の人々が本来の仕事に専念できるよう連携できれば」と手応えを語った。

新たな活動の動きもある。副代表を務める三重大医学部2年の渡部裕斗さん(20)は今年から、志摩町和具の離島「間﨑島」に一人滞在。「万屋(よろずや)」の名目で、島民から借りた施設で民泊をしながら高齢者が大半を占める島民約50人からの御用聞きを始めた。

主な活動は屋根の草むしりや畑仕事、家のそうじなど。昨年は必要経費の問題から一時的な滞在にとどまっていたが、活動を通じて知り合った島民の助けもあって、今年は腰を据えての活動を決意したという。

高校生の時に参加した志摩市民病院の体験実習で同島に滞在したのが縁で、同大への進学を決めた。「島のために何かできたらという思いがあった。島民から受けた提案もあるので、来年はもっと人を集めて自分一人だけではできなかったことをしたい」と話す。

島で雑貨店を経営する西井楠野さん(87)は「一人の若者がこの離れ島で協力してくれるのは本当にありがたい。島の宝」と話した。