「不可欠な役割」 鈴鹿の夫殺害、妻に懲役15年 津地裁判決 三重

三重県鈴鹿市で昨年5月、解体作業員横山麗輝さん=当時(25)=が殺害された事件で、殺人と暴行の罪に問われた、妻で元飲食店経営横山富士子被告(46)=同市稲生塩屋一丁目=に対し、津地裁(田中伸一裁判長)は30日、「犯行における重要で不可欠な役割を主体的に果たした」として、懲役15年(求刑・懲役17年)の判決を言い渡した。

田中裁判長は判決理由で、「容易に殺害できるよう睡眠薬を服用させ、有効な抵抗の余地がない被害者の首をコードで相当時間にわたり絞めた。生命を確実に奪う手段で相当悪質」と指摘。犯行前に居宅で玄関の鍵の開け方や包丁の置き場を確認するなど計画性を認定し、自宅での襲撃に失敗して逃げようとした共犯者を引き留めるなど「犯罪遂行意思は相当に強い」とした。

「被害者から暴力や暴言を受けていた」などとする弁護側の主張については、「関係悪化の原因の多くは被告人の不貞にあった」としたうえで、「関係を継続したいという欲求を優先し、自身の問題解決の義務をないがしろにして殺害を決意した。動機や経緯は身勝手かつ短絡的で相当強い非難を免れない」と述べた。

また犯行における役割については、「直接的な暴行や殺害行為に手を下していないとはいえ、共犯者の行為を通じて殺害という目的を完遂したと言うべきで、役割を軽く見るべき事情はない」と結論付けた。

判決によると、富士子被告は上山真生受刑者(30)=同罪で懲役14年の実刑が確定=と共謀して平成30年5月13日午前0時15分ごろ、同市稲生塩屋一丁目の麗輝さん方で麗輝さんの首を絞めるなど暴行。同午前4時5分―40分ごろまでの間、同市道伯町のスナックで、麗輝さんの首を延長コードで絞めつけ、頸部圧迫により殺害した。

■殺害の実行者、明らかにならず■

鈴鹿市で昨年5月、解体作業員横山麗輝さん=当時(25)=が殺害された事件で、津地裁(田中伸一裁判長)は妻の富士子被告の役割を重く判断し、共犯者で交際相手だった上山真生受刑者よりも一年重い、懲役15年の判決を言い渡した。

麗輝さんの首を絞めた殺害の実行行為が誰によるものだったかを争った上山受刑者の裁判と比較して、争点がおぼろげだった今回の裁判。結果的に、富士子被告の役割の重さと計画性の有無が争点となった。

田中裁判長は、一連の犯行に先立ち、殺害を想定した下見や鍵の授受など「相応の準備や計画があった」と認定。携帯電話のGPS機能を使って被害者の居場所を教え、居宅での襲撃が失敗した後も経営する店に訪れた被害者に睡眠薬を飲ませ、逃走しようとする上山受刑者を呼び出して殺害を促すなど、富士子被告の役割の重さを強調した。

一方、誰が殺害の実行行為に及んだかは、2つの裁判を通じても最後まで明らかにはならなかった。田中裁判長は今回の判決で、「被告人は直接的な暴行や殺害行為に手を下していない」と認定した。しかし、上山受刑者への判決では「被告人のみが実行行為をしたとは認定できない」とし、今回の審理でも具体的な立証には至らなかった。