参院選三重選挙区 吉川氏が再選 激戦区で自民議席守る

【万歳三唱する吉川氏(手前右から2人目)=四日市市泊山崎町で】

第25回参院選は21日、投開票され、三重選挙区(改選数1)では自民党現職の吉川有美氏(45)=公明党推薦=が、野党統一候補の無所属新人、芳野正英氏(44)=立憲民主、国民民主党推薦=と、NHKから国民を守る党新人、門田節代氏(51)を下し、2期目の当選を果たした。

6年前の参院選で15年ぶりに議席を奪還した自民が議席を死守するか、野党統一候補が3年前に続いて勝利するかが焦点だった。与野党ともに大物弁士を県内に招き、激しい選挙戦を繰り広げてきた。

吉川氏は選挙戦で、インフラ整備や幼児教育・保育の無償化に取り組んだ実績に加え、県選出の国会議員で唯一の女性であることをアピール。保守地盤の強い南部や伊賀地域を中心に支持を広げた。

安倍晋三首相や小泉進次郎厚生労働部会長ら大物を相次いで投入し、無党派層の支持も獲得。芳野氏の出身で旧民進党系の支持が厚い北勢では苦戦も想定されたが、序盤から優位に戦いを進めた。

公示前に各地で決起大会を開き、公示後は街頭演説に重点を置いて露出を増やす戦略も奏功したとみられる。県議らが票の掘り起こしを図ったほか、県連幹部らも企業回りなどで地道な活動を支えた。

一方、芳野氏は推薦する立憲民主、国民民主両党のほか、共産党、社民党、市民連合みえも含めた強力な地盤での選挙戦を展開。「三重県方式」の下で県議会会派「新政みえ」や連合三重の支援も受けた。

選挙戦では、衆院議員の秘書や市議、県議を務めた経験を踏まえた「政策通」としての見識をアピール。格差の是正や社会保障制度の見直し、憲法改正の阻止を訴え、幅広い層から支持を受けた。

しかし、四日市市選出の県議だったこともあり、選挙戦は一貫して知名度不足に悩まされ、特に中南勢や伊賀地域では深刻だった。終盤は北勢を重点に無党派層の掘り起こしを図るも及ばなかった。

門田氏はNHKの受信料を争点に掲げ、任意でNHKの受信を選択できる「スクランブル放送の導入」を公約に掲げた。ネット上では門田氏の独特な政見放送が「衝撃的だ」「面白い」などと注目を集めた。

ただ、後援会などの基盤を持たず組織力に欠け、選挙ポスターの掲示が公示の翌週にずれ込むなど出遅れ感も目立った。受信料のほかに公約として掲げる政策がなかったこともあり、支持は広がらなかった。

 

■解説 ― 野党共闘を打破、自民収穫■
前回参院選に続いて全国屈指の激戦区と位置付けられた三重選挙区。有権者は現職の吉川氏に2期目を託した。自民にとって最大の収穫は、悩みの種だった野党共闘の壁を打破したことだろう。

前回の三重選挙区では野党統一候補が自民候補に勝利し、全国の一人区でも数少ない野党共闘のモデルケースとされた。今回の「リベンジ」は、県内だけでなく全国の自民勢力に希望を与えることとなる。

「民主王国」と言われた三重での勝利も大きな成果だ。自民にとって最大の狙いは岡田克也衆院議員の牙城を切り崩すこと。今回の勝利は、野党共闘より大きな壁に「王手」を掛けたと言っても過言ではない。

ただ、すぐさま県内での自民躍進につながるわけではなさそうだ。今回は「安倍一強」を踏まえた勝利の点が否めず、野党系の現職も強固な地盤を持つ。来たるべき衆院解散に向けた地道な活動が必須だろう。

他方、野党にとっては候補者の一本化が必ずしも勝利に結びつかないと思い知らされた格好だ。当初から想定された新人の知名度不足を終盤まで克服できなかったことは陣営の戦略ミスと言わざるを得ない。

野党共闘は「野合」と批判される隙を与えただけでない。旧民進系の支持団体には共産への反発があり、共産からも候補者取り下げへの不満が漏れた。野党共闘の限界を受け止めた上での立て直しが急務だ。