近鉄GHD 「MaaS」、今秋から実証実験 観光地点在の志摩で 三重

【MaaSの実験を市内で始めると発表した白川専務(右)と竹内市長=志摩市役所で】

【志摩】近鉄グループホールディングスは25日、出発地から目的地までの列車やバス、タクシーなど各交通機関の検索、予約、決済を一括して行う次世代移動サービス「MaaS(マース)」の実証実験を今秋から三重県の志摩市で始めると発表した。専用のアプリを開発し、観光客を対象に需要を探る。近鉄沿線では初めての取り組み。

近鉄や市によると、路線バスの本数が少ないなどの理由で、観光客から「移動や交通が不便」という声が上がっていた。タクシーに対しては運賃の高さを指摘する声も出ていたため、観光地としての魅力を生かし切れていなかった。

この日、市役所で市と共同会見を開いた同社の白川正彰専務は「志摩にはポテンシャルの高い観光地があるものの、それが広く点在している。その一方で交通アクセスが不足し、自家用車観光に依存しているため、地域の活性化が図られていない」と指摘した。

実験は観光客が移動手段を調べる上での煩雑さの解消が狙い。三重交通や三重近鉄タクシー、志摩マリンジャーなど複数の交通事業者が参加する。近鉄は期間を秋と冬の2期に分け、需要を探る。

10、11月に実施する1期目の実験では、アプリを開発するためのデータを収集する。乗客が利用したいときに呼べるオンデマンドバスなどを新たに導入し、利用頻度を調べる。市内の中央に英虞湾が位置するため、オンデマンド型のマリンタクシーも合わせて導入。運賃を低く抑えるため、タクシーは相乗り式を乗客に紹介する。いずれも専用のウェブサイトを新設し、近鉄の各駅などで周知する。

1期目の実験で集めた需要データを基に、同社は年明けにも志摩専用のアプリを開発する予定。1、2月に実施する第2期の実験で配信する。出発地と目的地を打ち込むと、経路が表示される仕組みだ。決済も一括して行えるシステムにする。

本格導入は未定だが、白川専務は「できるだけ早期」と話した。目的地のホテル予約などもできるアプリにし、近鉄の新たな観光商品として売り出す。伊勢、鳥羽、志摩の3市全体でのマースに拡大する方針で、将来的には奈良県など近鉄沿線の他の観光地でも導入を検討している。

白川専務は「これからはアプリが旅行代理店の役割を果たすようになる」と期待し、竹内千尋市長は「移動のネックを解消し、観光振興につなげたい」と語った。