参院選・公開討論会 吉川・芳野2氏の持論、要旨紹介

【芳野正英氏(左)と吉川有美氏(右)】

三重県津市一身田中野の三重短大で22日夜に開かれた参院選の公開討論会。三重選挙区(改選数1)に出馬を予定する自民党の現職、吉川有美氏(45)と野党統一候補の新人、芳野正英氏(44)が、社会保障制度のあり方などを巡って持論を展開した。討論の要旨を紹介する。(コーディネーターは三重大の元副学長で公開討論会支援リンカーン・フォーラムの児玉克哉理事)

■社会保障
芳野氏
1960年代は8―9人の現役世代が1人の高齢者を支えるおみこし型だったが、現在は2・4人が1人を支える騎馬戦型。団塊ジュニア世代が高齢者となる2050年には、1人が1人を支える肩車型になると言われている。今と同じような負担で介護や医療を受けることは難しく、負担の議論しなければならない。一方で年金や介護、医療について国民の不信感が芽生えている。これから介護や医療にどれだけの負担が必要になるのかを国は示すべき。負担増を先行させるのではなく、まずは全体像を示すべき。

吉川氏
できるだけ税負担を上げないようにすべきだが、1年間で生まれる子どもの数は100万人を切っている。私たちの世代は親の介護が近くなる一方、子育てもしなければならない。新しい時代の社会保障制度改革が必要だと思っている。2015年に自民党の国会議員が社会保障制度改革のプロジェクトチームを立ち上げ、改革を進めている。医療費や介護費の給付が増える中で、いかに社会保障を維持するか。子育てや教育といった、これまで社会保障制度に入っていなかった部分についても下支えの仕組みを考えるべき。
■消費税
吉川氏
消費税率が10%に上がったときの社会保障に回す配分は、2012年の3党合意で明確に決まっていた。しかし、私たちの政権では10%に上げる前の段階から子どもや子育てにもお金を回している。10%になるときの経済への悪影響をどう解消していくか。自民党の税制改正では増税の影響を避けなければならないと考え、買い物のポイント還元や住宅ローン減税、増税後に自動車を購入した人への減税など、抜本的な対策を取っていく。消費税の増税は社会保障をしっかりと守っていくために重要だと考えている。

芳野氏
10月に予定される消費税率の引き上げは3党合意のスケジュールにのっとって進んでいるが、経済成長によって国民の所得が引き上がっていることが前提だった。所得が変わらないのに税負担ばかり上がれば必ず消費が落ち込む。まず国民の所得をどう引き上げていくかを考えるべき。国民の所得がどれぐらい上がっていくのかという目標設定がないまま、増税の議論が行われている。20年前から3分の2に減っている現役世代の所得を戻していくことに注力し、その後に消費増税の段階が来るだろうと考えている。
■多子社会の実現
吉川氏
全国でアンケートを取ると、結婚した時に生みたいと思った子どもと実際に生んだ子どもの数には1人以上の差がある。理由で最も多いのは経済的に自信がないから。少子化が国難だとも言われる時代に、経済的な理由であきらめるようなことがあってはならない。子育て世代への支援を求める私たちの提言により、2兆円の政策パッケージが決まり、幼児教育や3歳以上の保育が無償化されることになった。虐待を防止し、地域で子どもを育てる体制を作るなど、経済的な理由以外でも支援に取り組む必要がある。

芳野氏
子どもに対する経済的支援の現状は、先進国としては十分でない。特に一人親家庭に対する支援が必要。子ども6人のうち1人が貧困世帯で生活していると言われている。貧困の連鎖によって仕事が得られず、働いていても所得が低いことで、将来的な社会保障が増大すると懸念されている。子育てや現役世代への支援が将来的な社会保障の負担増を防ぐことになる。子育てや介護といった福祉の分野では直接的な給付金などではなく、クーポンを発行することで福祉サービスを利用してもらいやすい状況を作るべき。
■国際情勢
吉川氏
特定秘密保護法や平和安全法制、テロ等準備罪について、うまく伝わらないところがある。自民党って戦争を始めるのとか、危ないのではという意見を受け、本当に残念に思った。目まぐるしく変わる世界情勢の中で、3つの法案を通したことで私たちの国や地域は守られることになった。特定秘密保護法は、防衛や機密で知り得たことを話してはいけないという当たり前の話。北朝鮮がミサイルを撃った2分後に菅官房長官が記者会見をするのも、この法律ができたから。これからも日本を守るために、しっかりと考えたい。

芳野氏
日本は戦後70年、専守防衛を徹底してきた。いくら国際情勢は変わっても、この姿勢をずらせば日本の国際貢献は図れない。イラク戦争でも日本は自衛隊を戦闘地域に派遣することはなかった。イランの親日感情が強いのは、日本が戦場で1発も銃を撃っていないからだと思う。集団的自衛権を認めて海外で実際に自衛隊が戦闘行為に参加するインパクトは大きい。安倍総理のイラン訪問には一定の評価をしているが、それは日本が話し合いに乗り込めるから。この外交を続けるのなら、集団的自衛権は必要ない。