「社会のルール守って」 事故で息子亡くす 鷲見さん、中学生に命の大切さ訴え 三重

【交通事故で息子を亡くした経験から命の大切さを生徒に伝える鷲見さん=志摩市阿児町鵜方で】

【志摩】三重県志摩市阿児町鵜方の市立文岡中学校で20日、命の大切さを学ぶ教室(県警とみえ犯罪被害者総合支援センターの共催)があり、交通事故で息子=当時(16)=を亡くした東員町の鷲見三重子さん(65)が講演した。鷲見さんは「これ以上被害者だけでなく、加害者も出したくない。社会のルールを守ってほしい」と呼び掛け、全校生徒約390人が聞き入った。

当時、桑名工業高校の2年生だった息子の拓也さんは平成9年4月、学校からの帰宅途中に横断歩道を渡っていた際、脇見運転をしていた車にはねられ、死亡した。鷲見さんは「22年前のことだが、今でも鮮明に覚えている」と振り返った。

拓也さんは意識のない状態で病院に搬送された。鷲見さんは、朝日に向かい「私の命と引き換えに拓也の命を助けてください」と祈り続けたという。拓也さんが亡くなってからしばらくは一日中何もできず、車に乗るのが怖くて外出できなかった。娘の支えに救われたという。

事故を受け、現場には信号機が設置された。事故から3年後、拓也さんを直接知らない同校の生徒たちが「命の大切さを訴えるため事故を語り継ぎたい」と鷲見さんの下を訪れた。

生徒たちの動きに触発され、遺族の思いを伝えようと考えた鷲見さんは、事故や事件、自殺などで大切な人を失った遺族の思いを伝える「生命のメッセージ展」を平成17年、津市で開催。全国各地の遺族らによって13年に始まった取り組みで、県内での開催は初めてだった。

鷲見さんは事件や事故などで家族を亡くした人らでつくる「いのちの言葉プロジェクト」の代表を務めている。講演活動のほか、小学生向けの人形劇なども手掛け、各地で命の大切さを訴えている。鷲見さんは「被害者や加害者になると夢が花を咲かさなくなってしまう。社会のルールを大切にしてほしい」と呼び掛けた。