玉城町でキウイ生産へ 津の浅井農園 世界最大手と提携 三重

【キウイフルーツの産地化へ向け、連携協定を締結した浅井社長(左から2人目)と辻村町長(右から2人目)=玉城町役場で】

【度会郡】三重県津市高野尾町の浅井農園が玉城町でキウイフルーツの生産に乗り出す。キウイの生産販売で世界最大手のゼスプリ社(本社・ニュージーランド)と提携し、国内有数の園地となる見込み。町は農地の集約化に協力し、栽培面積は本州最大の7・3ヘクタール。初収穫は令和4年10月で、現在国内に流通している国産キウイの約半分に相当する280トンを見込む。18日、浅井農園と町が産地化連携協定を締結した。

この日、町役場であった協定調印式には、同社の浅井雄一郎社長や辻村修一町長、立会人としてゼスプリ・フレッシュ・プロデュース・ジャパンのニック・カートンアジア統括マネージャ、鈴木英敬知事が出席。浅井農園と町は来年2月ごろ、同町原地区に農場を開設する方針などを確認した。キウイは栄養価が高いことなどから、近年国内での需要が拡大。流通量は国産よりもニュージーランド(NZ)産の輸入物が多い。ただ、南半球にあるNZ産のキウイは収穫時期の関係で日本では1―3月に出荷できず、国内需要に供給が追い付いていないという。

年間を通じてキウイを販売したいゼスプリは、九州や四国を中心に農業法人などと提携し、園地を広げている。今後7年間で現在66ヘクタールの園地を500ヘクタールにまで拡大する方針。生産量は576トンから1万8千トンまで増やしたい考えだ。

浅井社長はこの日「グローバルな視点を持ち、ビジネスチャンスがあるところに挑戦したい。温暖な県南部は果樹栽培で伸び代がある」と語った。同社はゼスプリからキウイの苗木の生産も委託されており、創業以来ササキとツツジの生産で培ってきた接ぎ木の技術も生かす。

辻村町長は「農業振興をはじめ、町の活性化に大きく寄与してくれることと思う。玉城町産のキウイが店頭に並ぶ日を楽しみにしている」と話した。
■農地の集約化が鍵 キウイ園地の拡大
浅井農園がキウイフルーツの生産に乗り出す上で玉城町を産地に選んだのは、町が協力し、農地の集約化が実現したからだ。同社が提携するキウイ販売の世界最大手ゼスプリ社は、「ゼスプリブランド」としてキウイの品質にばらつきが出ないことを求めており、集約化が鍵となる。両社は事業が軌道に乗れば、同町を中心に園地を拡大する方針だ。

町によると、農場が設けられる同町原地区は、柿や桃などの果樹栽培が盛んな地区だったが、担い手の高齢化に伴い遊休地が多くなっていた。県を通じ、浅井農園からキウイの園地候補を求められた町は遊休地を活用するため、原地区の地権者52人に同社へ農地を賃すよう説得した。

キウイの栽培面積約7・3ヘクタールのうち、2・1ヘクタールで果樹や野菜の栽培をする農家がいたが、町が代替地を用意することで説得に応じた。

町の西野公啓産業振興課長は「農地を適切に管理するためにも集約化は必要になってくる。一方で農家には農地に対する思い入れがあり、土日返上で事業の説明に奔走した」と話す。

ゼスプリは九州や四国を中心に農業法人などと提携し、キウイ園地を拡大。近年は特に、味に一定の品質を保つため農地の集約化を掲げている。同社はキウイの需要は「まだまだ伸び代がある」と見込んでおり、園地の候補を探している。

浅井社長はこの日の調印式で「モデル事業になると思っている。地域の中で農地を集積し、新しい担い手が新たな市場を作っていきたい」と話した。その上で、事業が雇用を生み「玉城町を盛り上げるところまでつなげたい」と語った。