三重県議会 専門医不足で初診停止 県立子ども身心発達医療センター

三重県議会6月定例月会議は12日、山内道明(公明党、2期、四日市市選出)、山本里香(共産党、2期、四日市市)、下野幸助(新政みえ、3期、鈴鹿市)、津田健児(自民党県議団、5期、四日市市)、舘直人(草莽、5期、三重郡)の5議員が一般質問した。県は発達障害児を診療する県立子ども心身発達医療センター(津市大里窪田町)の児童精神科が、今月から初診の受け付けを停止していると明かした。増加する受診に専門医の確保が追いついていないことが理由。県は「できるだけ早く再開したい」としている。

■福祉施設にもBCPを ― 山内道明議員(公明党)

災害時に事業活動の継続を図るためのBCP(事業継続計画)について、企業だけでなく福祉施設にも策定を促すよう要請。県当局は「まずは利用者の安全を確保するための非常災害対策計画を策定するよう求めたい」と返答した。

【事業継続計画】
山内議員 中小企業や小規模企業のBCPは、専門家派遣などで策定の支援をしているが、福祉施設でも策定の支援が必要。福祉施設の策定状況と今後の取り組みは。

福井医療保健部長 平成29年に調べたところ、特別養護老人ホームなど513の入所施設のうち、非常災害対策計画を有しているのは65・5%の336施設だった。調査結果を踏まえ、高齢者福祉施設に非常災害対策計画の策定を強く働きかけ、既に計画を策定している施設にはBCPの策定を助言したい。

【相談ダイヤル】
山内議員 急な病気やけがの対処を専門家に相談できる「みえ子ども医療ダイヤル(♯8000)」の運用状況は。どのように利用を促進するか。

福井医療保健部長 年間の相談件数は9千件から1万件で推移している。昨年度は1万859件の相談が寄せられた。市町の施設や医療機関、幼稚園、保育所などにチラシやリーフレットを設置し、母子手帳にも掲載している。多くの人に知ってもらえるよう、本年度はカード型のリーフレットを作成した。今後も周知に努めたい。

■隠れ待機児童の実態は ― 山本 里香議員(共産党)

保育所に入所できずにやむなく育児休業を延長する人などいわゆる「隠れ待機児童」の実態を尋ねた。県は平成30年4月1日時点で県内の待機児童は80人だったのに対し、隠れ待機児童は407人に上ったと明らかにした。

【隠れ待機児童】
山本議員 四日市市の森市長が待機児童を解消したと発表した際、隠れ待機児童もいると説明していた。県は隠れ待機児童をどのように把握しているのか。

大橋子ども・福祉部長 県では厚生労働省が実施する調査に基づいて、待機児童数を調べている。その際、いわゆる隠れ待機児童と呼ばれる児童数についても把握することになっている。保育所に入所できずやむなく育児休業を延長した人や求職活動を休止した人、特定の保育所を希望して待機している人の数を調査している。本年度4月1日時点の調査結果は精査中。

【家族農業】
山本議員 環境と文化に配慮した食料を持続的に求めるためには、農家が続いていくことを第一に考えなければならない。家族農業への支援は。

知事 収益力の高い専業的農業を育成する産業政策と、農村全体の価値の向上を図る地域政策を両輪でやっていく。家族農業では、共同化を図り、生産性の向上や付加価値づくりを進めることなどで収益の確保を図る必要がある。多様な担い手が確保され、地域活力の向上が持続的に進んでいくよう取り組む。

■若者定着の対策求める ― 下野幸助議員(新政みえ)

若者の県内定着に対して県が定めた目標を達成できていないと指摘。流出の状況を詳細に分析し、具体的な効果を示した上で対策を進めるよう求めた。鈴木知事は「危機感を持って取り組む」と語った。

【若者定着】
下野議員 県内定着の事業を詰めないと、約3千人に上る若者の転出を食い止められない。目標と現実がだんだん乖離(かいり)している。いま一度、ギアアップを。

知事 若者の県外流出に危機感を持ち、重要政策課題として取り組む。安心に暮らすことができ、希望もかなえられるという観点で政策を展開したい。競争が激しくなる一方で、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)によって地域的な制約が取っ払われることも期待する。

【発達医療】
下野議員 発達障害の子どもを診療する県立こども心身発達医療センターについて「今から申し込んでも10カ月待ち」と聞いた。今後の運営改善は。

大橋子ども福祉部長 発達障害の医療ニーズが高まっているほか、これまで地域で発達障害児を診察してきた医療機関が相次いで閉院するなどし、センターへの受診希望者が集中している。センターは本年度、常勤医師を増員するなど体制を強化したが、予約枠が埋まり、現在は緊急の場合を除いて初診予約の受け付けを停止している。増員した医師の実地研修が終わり次第、速やかに初診の枠を拡充したい。

■教育大綱に数値目標を ― 津田 健児議員(自民党県議団)

教育施策の方針を定める「県教育施策大綱」の策定時期を迎えるに当たって、数値目標を盛り込むことを提案。鈴木知事は「個別計画で設定している」と説明した上で「分かりやすく示す工夫は議論する」と述べるにとどめた。

【県教育施策大綱】
津田議員 次期の県教育施策大綱で数値目標を設定し、PDCAサイクルを回すべき。

知事 詳細な取り組み内容や数値目標については、みえ県民力ビジョン・第二次行動計画のほか、県教育ビジョンなどの個別計画で設定し、PDCAで進捗管理する。次期の策定に当たっては現在と同様に進捗管理したい。数値目標は行動計画に書くが、分かりやすく示す工夫は議論したい。

【道徳教育】
津田議員 高校での道徳教育は、小学校や中学校に比べて不足感をおぼえる。人としての生き方や道を学ぶ「道徳の時間」は重要。

廣田教育長 新しい学習指導要領で、高校でも校長が「道徳教育推進教師」を任命することになった。公民科や特別活動が道徳教育の中核的な役割を担う。

津田議員 「道徳の時間」を設置するのか。

廣田教育長 道徳という科目名ではやらない。全体の中でやっていく。

津田議員 現場の教師は道徳教育推進教師が誰なのか分かっていない。

廣田教育長 誰に聞いても分かるよう研修の実施を徹底したい。

■聖火リレー選定経緯は ― 舘直人議員(草莽)

東京オリンピック聖火リレーの県内ルートに12市町が選定された経緯を尋ねた。県当局は、大会の組織委員会から時間や人数の条件を与えられていたことから、全ての市町を通過させることができなかったと説明した。

【聖火リレー】
舘議員 東京オリンピック聖火リレーの県内ルートが公表されたが、選定の経緯や今後のスケジュールはどうなっているのか。

辻国体・全国障害者スポーツ大会局長 1日8時間▽1人200メートル▽1日80から90人―などの条件が組織委員会から示され、南北に長い県の特性から全ての市町を通る選定は難しかった。県の魅力を最大限に発信できるルートの検討を重ね、総合的な見地で選定した。選定されなかった市町については、情報発信で何らかの工夫ができないか検討したい。

【国体】
舘議員 三重とこわか国体・とこわか大会(全国障害者スポーツ大会)の経費削減は必要不可欠だが、全てで削減ありきではならない。おもてなしに関連する経費など、次につながる予算もある。競技力向上も十分に手当てすべき。

知事 地元選手の活躍で県民に夢と希望を与えられるよう、天皇杯と皇后杯の獲得を確実にしたい。競技力向上の対策や多くの県民が参加する取り組みには、予算を重点配分したい。おもてなしやバリアフリーについても、しっかりやるよう指示している。

<記者席 ― 「残念ながらPTA休暇はない」>

○…締めくくりに「少し話は変わるが」と切り出した山内議員。3人の子を持つ親として、夫婦で子ども会役員を務め、PTAに積極的に関わっている経験談を披露した。

○…一方で「残念ながらPTA休暇はない」とし、見守り活動で有給休暇を取得する保護者もいると指摘。見守りのためにフレックスタイム制を認める海外の事例も紹介した。

○…その上で「育児に先進的な三重から、保護者が活動に参画しやすい環境の啓発を」と要望。答弁は求めなかったが、同じく子を持つ鈴木知事も共感したに違いない。

○…一般質問で度々バトルを繰り広げる山本議員と鈴木知事。鈴木知事は山本議員に農政について問われると「私の政策集をあまり読まれていないと思う」と指摘。山本議員は「政策集が手に入らなかったので、コピーして回し読みした」と反論した。

○…そのまま反論が続くと思いきや「(政策集は)すぐにはけてしまったようで、なかなか評判が良かったのではないか」と持ち上げてみせた。仕掛けた側の知事は拍子抜けだったか。