三重県議会 県民意見を予算編成に 来年度分から導入考え

三重県議会6月定例月会議は6日、稲垣昭義(新政みえ、5期、四日市市選出)、中森博文(自民党県議団、5期、名張市)、長田隆尚(草莽、4期、亀山市)、村林聡(自民党、4期、度会郡)の4議員が代表質問した。鈴木英敬知事は、県民の意見を予算編成に取り入れる「参加型予算」を来年度当初予算の編成から導入する考えを示した。先進的とされるパリ市の事例を参考に、県民から新たな発想の事業を募集するほか、県民投票で事業を選ぶことも検討する。
■川崎事件受け対応は ― 稲垣 昭義議員(新政みえ)
川崎市で児童らが殺傷された事件を受けた対応を尋ねた。鈴木知事は見守り活動に当たる防犯ボランティアを対象に、対処方法などを学ぶ研修を実施する考えを示した。

【川崎市殺傷事件】
稲垣議員 川崎市の痛ましい事件で安全対策の早急な検討が求められる。知事として何を思い、何をすべきと考えるか。

知事 亡くなられた児童や保護者、ご遺族に心からお悔やみ申し上げる。どうしてあんなことが起こったのか、強い憤りを禁じ得ない。防犯ボランティアのリーダーに見守り活動の強化を求め、自身の安全確保も注意喚起した。また、万が一のための対処方法や日ごろの備えに関する内容を含むフォローアップ研修の実施を予定している。

【参加型予算】
稲垣議員 知事は政策集で参加型予算に言及した。県民が税の配分に関われる仕組みは重要。知事の決意は。

知事 参加型予算は県民の新たな発想や身近な問題意識を取り入れて事業の質を向上させることや、予算に興味を持ってもらうことが目的。令和2年度当初予算編成からの導入に向けて検討している。これまでの発想にとらわれない新たな視点を幅広く取り入れるため、テーマを設けて課題をクリアにして募集するなど工夫したい。より多くの県民に参画してもらうため、事業選定の投票制度も設けたい。
■第3次計画の方針は ― 中森 博文議員(自民党県議団)
令和2―5年度の4年間の戦略をまとめる「みえ県民力ビジョン・第3次行動計画」(仮称)の策定方針を尋ねた。福永戦略企画部長はこれまで各施策に設定していた数値目標について指標を刷新する考えを示した。

【第3次行動計画】
中森議員 次期行動計画の基本的な考え方や取りまとめ方法は。

福永戦略企画部長 「ソサエティー5・0」(超スマート社会)や「SDGs」(持続可能な開発目標)の考え方を据えて検討し、次期総合戦略と一体的に取り組む。数値目標については、これまでの「県民指標」に相当する「主指標」(仮称)と、県の取り組みの効果が分かる「副指標」(仮称)を各施策に設定する。

【南海トラフ地震】

中森議員 南海トラフ地震防災対策推進基本計画が修整された。震源域の約半分で地震が起きる「半割れ」のケースでは、被害のない地域でも事前に避難しなければならない。南海トラフ地震を想定した県の防災対策は。

知事 南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)が発表された場合、後発地震に伴って発生する津波からの避難が間に合わない地域では、一週間の事前避難が必要。県内で事前避難が必要になる地域は伊勢湾岸沿いの全ての市町に存在する。市町を対象とした研修会を定期的に開催し、課題の可視化やニーズの共有を進め、必要な対策に取り組む。
■災害情報発信で指摘 ― 長田 隆尚議員(草莽)
長田議員は、県のホームページからアクセスすることが困難な災害情報があると指摘。県は「県民が情報を入手しやすいようにしたい」とし、改善を検討する考えを示した。

【防災減災】
長田議員 鈴木知事は知事選の政策集で防災減災を中心に据え、本年度当初予算では「観往知来」と呼ばれる防災減災パッケージを盛り込んでいる。その思いは。

知事 東日本大震災と紀伊半島大水害が、対策に力を傾ける原点。伊勢湾台風や昭和東南海地震の教訓も生かし、大規模災害に備えるためにパッケージをまとめた。ソフト、ハードの両面で対策を深化させたい。

【情報発信】
長田議員 土砂災害情報提供システムや洪水浸水想定区域図などを、県のホームページで見ようとしても、なかなかたどり着けない。災害情報やホームページのあり方について、どう捉えているのか。

日沖防災対策部長 災害情報はホームページや電子メール、スマートフォンに対応したページのほか、ツイッターやラインでも発信しているが、まだまだ認知度は低い。効果的な情報提供と周知に努めたい。

福永戦略企画部長 県のホームページはアンケートで8割から「使いやすい」と評価されたが、最新情報がサイト内検索で表示されにくいという課題がある。県民が情報を入手しやすいようにするため課題の解決に向けて検討したい。
■仮説住宅算定見直しを ― 村林 聡議員(自民党)
災害時に建設型応急仮設住宅が必要と想定される世帯数の算定で、倒壊した住宅の再建を希望する人を差し引いている点を疑問視。「積算がおかしい」と批判し、見直しを求めた。県は再建希望者には、民間業者から借り上げた空き室で対応する考えを示した。

【仮設住宅】
村林議員 応急仮設住宅の必要戸数をどれくらい想定しているのか。

日沖防災対策部長 想定では、必要となる建設型応急仮設住宅は1万3725世帯。平成30年12月末時点で、建設候補地は県内543カ所に329万平方メートルを確保し、約3万2900世帯の建設が可能。借り上げ型応急仮設住宅の想定空き戸数を考慮すると、一定数を確保できている。

村林議員 住宅再建には相当時間がかかるので、必要世帯数の算定で再建希望者を引くと計算が合わない。被災者の視点が足りない。

【漁業】
村林議員 漁業者が廃業する際に漁船などの処分費が高く大きな負担。新しく始める人に一式引き継いでもらうための体制は。

前田農林水産部長 漁業者の高齢化で廃業する際、不要となる漁船や漁具の処分が負担となる。新規参入者にとっては、漁船や漁具を購入する費用が大きな負担となる。廃業した漁業者の漁船や漁具を「居ぬき」物件としてとらえ、円滑に引き継ぐため、廃業者と新規参入者の相談やマッチングを行う窓口を開設する。
<記者席>リニアへの熱意で知事に迫る
○…長田議員は本年度の国に対する要望で、リニア中央新幹線に関する提言が重要項目から一般項目に後退したと指摘。「内容も前年度と一言一句変わっていない」と迫った。

○…鈴木知事は「特段大意はない」と説明するも、長田議員は「ぜひとも重点項目に」と粘った。選出区が駅位置となる可能性があるだけに、リニアへの熱意は知事を勝るか。

○…6年ぶりの代表質問に臨んだ中森議員。前回は「スマートフォン、妻と同じで操れぬ」と詠んだが、今回は「6年たてばスマホを操れるようになった」と胸を張った。

○…ところが、県当局から「ソサエティー5・0」という新たな言葉が飛び出すと、困った様子で「6年後には吸収している」と弁解。6年後も使われている言葉なら幸いだ。