<まる見えリポート>度会町議選立候補予定者に聞く 定数削減で賛否両論 

任期満了(7月10日)に伴う三重県の度会町議選(定数11)が4日に告示される。2日現在、現新元職11人が立候補する見込みで、24年ぶりに無投票となる公算が大きい。一時は定数割れによって補欠選挙の実施も懸念されていたことから、伊勢新聞社は全ての立候補予定者に定数削減の是非を問うアンケート調査を実施し、回答を得た。定数を削減「すべき」が4人、「すべきでない」が5人と賛否が分かれた。「どちらでもない」が2人。削減すべきを回答した立候補予定者は、議員のなり手が少ない理由として議員報酬の低さを指摘した。

アンケートでは、無投票と定数削減の是非を①良い②悪い③どちらでもないの3択で尋ねた。その上で削減の是非については、答えを選んだ理由を記述式で回答してもらった(表参照)。回答者の内訳は、現職6人、新人4人、元職1人。

定数削減に賛成した人の内訳は新人2人、現職2人。反対は新人1人、現職4人。「どちらでもない」は新人と元職が1人ずつ。現職は、定数が削減されると民意が反映されにくくなるとして、削減に慎重な姿勢を示す人が多かった。

また、町議会始まって以来、唯一の女性議員・木本タヱ子氏(75)=4期=は「女性は男性に比べ、立候補のハードルが高い。定数削減は女性が議員になる枠をさらに狭める」と主張し、定数削減に反対した。

一方、定数を削減すべきと回答した新人の大野原德氏(55)と、いずれも現職の牧幸作氏(70)=3期=、若宮淳也氏(43)=1期=(50音順)は議会改革の必要性を指摘。「若者が立候補しやすくなる環境整備として議員報酬を上げるため、定数を削減すべき」と主張している。

議員報酬に関しては真逆の意見もあった。削減すべきではないと答えた「共産新人の貞森義和氏(77)は「報酬を減らし、議員を増やすべき。議会の会議を夜にするなど他の仕事との両立をしやすい環境を整える方が良い」としている。

町議会事務局によると、同町の議員報酬は月額19万3千円。平成30年7月現在、県内全15町の中では2番目に低い。議長は27万6千円、副議長は21万2千円。議長と副議長の報酬はいずれも県内15町の中では4番目に低い。

伊勢市によると、30年4月現在、県内14市の議会で議員報酬が最も高いのは四日市市の月額59万1000円。伊勢市は44万8千円で5番目に高い。市と町の違いはあるが、自治体によって報酬には開きがある。

議員報酬は伊勢市では商工会議所など民間団体から選ばれた代表らでつくる「報酬等審議会」が他市との比較や社会の経済情勢などを参考に審議する。一方、度会町議会事務局の担当者は「記録がないので分からない」としている。

同町の近隣では、27年9月に玉城町議会が定数13で無投票選挙になった。その後定数は削減されず、任期満了を迎える今年9月には前回と同じ定数13で選挙を実施する。

一方、昨年4月に無投票選挙となった南伊勢町議会(定数14)は今年3月、定数を12へ2議席削減。次回の選挙から適用する。上村久仁議長は取材に「無投票ばかりが理由ではない。人口千人当りに一議員が妥当かと考え、削減した。議会の存続を考えるとこれ以上は減らせない」と語った。

5月9日の立候補予定者説明会には、定数11に現新9陣営が出席し、一時は定員割れもささやかれていた度会町議選。改選後、議員定数を巡る議論が起こることは避けられなさそうだ。