度会町政の課題 進む高齢化、住民の「足」確保を 町営バスに改善の声 三重

【度会町営のコミュニティバス=同町大野木で】

住民の高齢化で自動車に変わる「足」の確保が課題となる中、三重県度会町の町営バスには改善の余地が多い。運行ルートが狭いため、利用しにくく、乗車人数が一日数人の日も珍しくないからだ。町は三重交通との競合を避けるため、町営バスのルートを限定しているが、町民からはルートの改善を求める声が上がっている。任期満了(21日)に伴う4日告示、9日投開票の度会町長選を前に、町の課題を探った。

町営バスはコミュニティバスと呼ばれ、平成23年度から運行を開始。町が10人乗りのワンボックス車を用意し、三重交通に運行を委託している。運賃は1回100円。役場周辺を走り、スーパーの前などに停車する。平日のみ運行し、事業費は約400万円。例年約1000―1300人が利用する。

町内には鉄道が走っておらず、タクシー会社もないため、自家用車を除けば三重交通の路線バスが主要な移動手段になる。運転免許を持たない人にとってコミュニティバスは日常の足になり得るが、自宅近くを走らない町民の場合、使いたくても使えない面がある。

「週に一度でもいいから自宅近くまでコミュニティバスを走らせてほしい」と話すのは、一人暮らしで運転免許を持たない同町立花の無職女性(84)。買物は2週間に一度、友人に多気町のスーパーへ連れて行ってもらっており、将来的には通院の不安もあるという。

この女性の自宅近くに住む登喜三雄町議は「食料や生活雑貨などを買えるよろず屋が以前は近くに2軒あったが、なくなって10年以上がたつ。車の運転免許を返納すれば買物難民となる予備軍は多い」と語る。

一方、利用者からは好評だ。一人暮らしで運転免許を持たない同町川口の松本禎子さん(81)は「日常の足として重宝している。バスがなければ外出しないので、できれば土日も運行してほしい」と話す。

町の担当者は「実際に乗ってもらえれば評価してもらえると思うので、乗車人数を上げようとこれまでもできる範囲でルートは改善してきた」と語る。南伊勢高校度会校舎前をルートに加えて以降、学生が使うようになり、利用者は少し増えたという。

町民の不満の背景には、町が「民業圧迫への懸念」を理由にコミュニティバスのルートを限定しているのに対し、隣町の玉城町や南伊勢町のコミュニティバスは三重交通の路線バスが町内を走る中、重複する形で町内をくまなく走っていることがある。

両町では町内200カ所に専用のバス停を設けており、事前予約することで、利用者の自宅近くのバス停まで迎えに来るのが特徴。方向が同じなら乗り合わせもあるが、一人からでも利用できる。玉城町では度会町の約20倍の年間2万4、5000人が利用しているという。玉城町の事業費は約2000万円。移動を町内に限定することで、同社の理解は得られているという。

度会町の担当者は「町民の言い分は理解できる」と話すが、予算などの問題から両町と同じ方式を移植するのは難しいという。代替案として、町内の移動に限定してタクシー会社との連携を検討している。

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町長選には今のところ、いずれも元町議会議長の新人・中村忠彦(60)、八木淳(58)=50音順=の両氏が立候補を表明し、12年ぶりの選挙戦となる見込み。両氏とも買物・医療難民対策を公約に掲げている。

中村氏は「タクシー会社への補助やシルバー人材を使った起業などを検討している。ニーズは右肩上がりなのでビジネスチャンスはある」と語る。

シルバー人材センターの創設を公約に掲げる八木氏は「買物代行事業を立ち上げる。医療難民に対しては、指定した場所まで迎えに行くシステムを作りたい」と話している。