津・昨年の交通事故 6人死傷、元役員を逮捕 危険運転致死の疑い

三重県津市本町の国道23号で昨年12月、タクシーと普通乗用車が衝突して6人が死傷した事故で、津署は28日、制御困難な高速度で乗用車を走行させたとして、津市白山町、元会社役員末廣雅洋容疑者(56)を自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の疑いで逮捕した。「事故を起こしたのは間違いないが速度はよく覚えていない。制御できないという認識はなかった」などと容疑を一部否認している。

逮捕容疑は平成30年12月29日午後9時50分ごろ、津市本町の国道23号下り線を法定速度の時速60キロをはるかに超える速度で乗用車を走らせ、道路沿いの飲食店駐車場から下り線を横切って上り線に右折北進しようとしたタクシーと出会い頭に衝突。タクシーを運転していた津市戸木町、野村達城さん=当時(44)=と乗客3人の計4人を死亡させたほか、乗客の会社員男性(29)=津市=に右足骨折など重傷を負わせた疑い。

県警によると、当時周辺を走行していた複数の車両のドライブレコーダーなどを解析した結果、車両の制動やハンドル操作、視認性の確保が困難な時速百キロ以上の高速度で走行していたと認定。今月15日には現場付近で同系統の車種を使用した実況見分を実施し、裏付け捜査を進めてきた。

県警は今後、タクシーの運転者についても、容疑者死亡のまま自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで書類送検する方針で調べを進めている。

■重い罰則規定を適用 直線道路の例なく、県警立証へ 三重

津市本町の国道23号で昨年12月、タクシー運転手や乗客ら6人が死傷した事故で、県警は乗用車を運転していた元会社役員の末廣雅洋容疑者(56)=津市白山町二本木=に対し、自動車運転処罰法違反の中でも過失運転致死傷容疑ではなく、より罰則規定の重い危険運転致死傷容疑を適用した。

危険運転致死傷容疑の適用に向けては、「進行を制御することが困難な高速度」で車両を走行させたことの立証が必要となる。県警交通指導課によると、県内の危険運転致死傷容疑での摘発件数は法制定後の平成13年から4月末現在で百件で、うち危険運転致死容疑の摘発は12件。過去に信号無視や飲酒運転、カーブや交差点での速度超過に伴う摘発はあったが、直線道路での適用例はなく、全国的にも珍しいという。

捜査関係者によると、当初は過失運転致死傷容疑での立件を視野に捜査を進めていたが、当時周辺を走行していた複数の車両のドライブレコーダーの映像を解析した結果、末廣容疑者が少なくとも法定速度の2倍以上に当たる時速120キロを超える高速度で走行していたと認定。末廣容疑者が退院する3月上旬を待って任意で事情を聞き、今月15日には現場付近で同系統の車種を使用し、雨で路面が濡れていた当時の状況などを再現して実況見分を実施。その結果、急制動やハンドル操作、視認性の確保が困難となる高速度で走行させていたと判断した。

事故現場は片側三車線の直線道路。下り車線沿いの飲食店駐車場から津市大門の居酒屋に向かうため、中央分離帯開口部を抜けて右折北進しようと、下り第二車線を横切ろうとしていたタクシーの側面に乗用車が衝突。末廣容疑者は津市内の勤務先から自宅に戻る途中だったといい、1月に会社を引責辞任したという。末廣容疑者の逮捕を受け、元勤務先の担当者は「真摯に受け止めて社会責任を果たしたい」と話した。

事故を受けて、道路を管轄する国交省三重河川国道事務所は現場周辺の開口部の閉鎖を決め、2月からバリケードでふさぐなどの措置を実施している。

県警交通企画課によると、昨年の県内の人身事故件数は4687件で、主要幹線道路の中で23号での事故件数は638件と最も多かった。事故種別としては追突が約4割と最多で、次いで今回の事故のような出会い頭の事故が約2割を占めるという。

交通指導課の山口雅章次長は「速度はあらゆる事故に直結し、被害も大きくなりやすい。法定速度を守って運転して欲しい」と話した。