鈴鹿の殺人 夫殺害、妻も実行否定 「交際相手が首締め」証言 津地裁公判

三重県鈴鹿市で昨年5月、解体作業員横山麗輝さん=当時(25)=が首を絞められて殺害された事件で、妻で飲食店経営横山富士子被告(46)=殺人と暴行罪で起訴=の共犯者として同罪に問われた交際相手の無職上山真生被告(30)=同市住吉二丁目=の裁判員裁判は8日、津地裁(田中伸一裁判長)で証人尋問と被告人質問があった。検察側の証人として出廷した富士子被告は「首を絞めたのは真生です」とする一方、上山被告は「間違いに気付いた」と実行を否定し、両者意見が対立する形となった。

根元から黒髪が目立ち始めた茶髪を背中まで伸ばした富士子被告は、共謀を認めながらも具体的な犯行の準備や指示は否定。殺害現場となったスナックでは麗輝さんに睡眠薬を飲ませ、真生被告の殺意を認識しながらも凶器となった延長コードを手渡したが自分は使用せず、犯行に及ぶ真生被告の横で麗輝さんの脈を測っていたと述べた。

捜査段階で事件への関与を否定していた理由について、「真生に自分一人で殺したことにしようと言われていた」と主張。一転して関与を認め、上山被告が不利となる証言の理由を問われると、「二人できれいに罪を償い、また一から頑張りたいから」と話した。

一方、上山被告は殺意を持って麗輝さんの自宅を襲撃したが、台所で包丁を手にした際に「人を殺すなんてありえない」と考え直したと主張。富士子被告に呼ばれてスナックに向かった時点でもう殺意はなかったが、「今しかない。今やらないと仕返しされる」と富士子被告に迫られて犯行を手伝ったとし、首を絞めた実行行為は否定した。

弁護側の質問では、上山被告が母親からの援助と併せて約783万円を富士子被告に貸していたことも明らかになった。上山被告は当初一人で罪をかぶろうと取り調べに応じていたが、母親や弁護士の指摘でだまされていたことに気付いたとし、「洗脳されていた。気付くチャンスは何度もあったのに盲信していて情けなく感じる。だましたことは絶対に許さない」と怒りをあらわにした。

起訴状などによると、上山被告は富士子被告と共謀して平成30年5月13日未明から早朝にかけて、同市稲生塩屋一丁目の麗輝さん方で麗輝さんの首を絞めるなど暴行を加えたうえ、同市道伯町のスナック店舗内で、殺意を持って麗輝さんの首を延長コードで絞めつけ、頸部(けいぶ)圧迫による窒息死で殺害したとしている。