「平成」墨書の土器片蔵出し 三重県埋蔵文化財センター、4年ぶり展示へ

【「平成」と書かれた墨書土器=県庁で】

「平成」から「令和」へ新しい時代を迎えた中、県埋蔵文化財センター(松阪市)が「平成」と墨で書かれた平安時代の土器片を4年ぶりに蔵出しする。センターによると、「平成」と墨書された土器は全国で唯一の可能性が高いという。

土器片は、平成26年に松阪市和屋町の櫛田川下流にある朝見遺跡で出土。長さ約12センチ、幅約10センチの土器片に3センチほどの大きさで文字が書かれている。平安中期に作られた。当時は水害が多く、櫛田川の氾濫を鎮める祭事に使われた杯と推定される。

センターによると、この土器片に書かれた平成を元号と同じく「ヘイセイ」と読むかは不明で、「ヘイジョウ」などほかの読み方のも考えられるという。担当者は「平安な暮らしへの祈りを示すために平成という文字を書いたのではないか」とみている。

朝見遺跡からは、墨で文字が書かれた同様の杯が300枚ほど発掘されているが、「平成」と記されたものはこの土器片一つだけ。センターが発掘成果を発表した後も、平成と書かれた土器がほかの地域の発掘調査で見つかった報告はないという。

全国的にも珍しいこの土器片が公開されたのは、27年3月の発掘成果報告会の1回きりで、それ以来展示されていない。令和への改元を経た5月11日、センターが設立30周年を記念して公開考古学講座の第1回を開催し、4年ぶりに展示する。

実はセンター自体が平成元年生まれ。平成とともに歩んできたことから、30年間の歴史や成果を公開考古学講座で紹介する。第1回は土器片のほか土器の棺などを展示。松阪市内の4遺跡の出土品から、縄文時代や平安時代の暮らしをひもとく。

センターの担当者は「平成と書かれた土器をきっかけに、県内の遺跡に関心を持ってもらいたい」と参加を呼び掛けている。

第1回は午後1時半―同3時まで。参加無料。事前申し込み不要。問い合わせは、センター=電話0596(52)7034=へ。